朝日ぐんまって?
朝日フォトコン
コラム 
総局長日記
「伝えたい」と念ず[2月24日号]

 真っ白なアザラシの赤ちゃんが、流氷の上でころりと寝転ぶ愛くるしい写真で知られる動物写真家の小原玲さんは、もとは報道カメラマン。湾岸戦争、ソマリアの飢餓など、弱者が犠牲になる紛争や国際問題を追った小原さんの写真を見ながら、話をうかがう機会がありました。
 1989年6月4日。民主化を求めて北京の天安門広場に集まっていた学生や市民を、中国人民解放軍が銃や戦車で弾圧しました。小原さんが撮ったのは、広場をうねる戦車と、その前で手をつなぐ学生たちが対比されるように浮かぶ写真。米国の写真誌LIFEに掲載され、高く評価された一枚です。
 装備の良いカメラは当局に没収され、使ったのは隠し持ったカメラ。フラッシュなしで、夜明けを待ち、感度の高いフィルムを装填し、絞りとシャッタースピードを計り、「写れ!」と念じたといいます。粗い画質から、その緊張感が感じとれます。
 「伝えたい」という強い思いは、技術云々を超え、受け手に届きます。日々、新聞やネットを通じてニュースや話題をお届けしている私たちですが、記事や写真から熱い思いが伝わる仕事ができているだろうかと、自省する機会になりました。
 小原さんに特別審査員を務めていただいた第2回朝日中学生高校生フォトコンが、今年も表彰式を終えました。入賞42点と学校賞1校の受賞者や顧問の先生、家族の皆さんらの笑顔が広がりました。小原さんは前橋高校時代の受賞がプロを目指すきっかけになったとか。この中から、次代の写真家が生まれるといいなあと考えながら、記念写真に収まりました。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)

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上州日和
卵とじ[2月22日号]

 長男が熱を出すといつも食べたがる料理「卵とじ」。野菜や肉を甘辛く煮て、最後に溶き卵を流し込む。ズボラでおっちょこちょいな私でも簡単にできるし、「牛肉とゴボウ」「しらすと白菜」など好きな具材を組み合わせて色々なバリエーションが楽しめるのも良い。だが、息子は「豚肉」「ジャガイモ」「玉ネギ」入りのことを「卵とじ」と呼ぶ。
 風邪で幼稚園を休んだ時、「消化が良くて温かく、栄養のあるものを」と、たまたま台所にあったものでパパっと作り、ご飯の上にのせて出したのが最初。母にとっては「適当丼」だったが、息子の中ではどうやら特別メニューとして記憶されたようだ。
 今週、期末テスト直前という大事な時期に遂に息子が流行りのインフルエンザにかかってしまった。40度の熱と格闘する中、「卵とじが食べたい」と布団の中でつぶやいた。
  早速、半月切りのイモと玉ネギとニンジンをフライパンでゆでた。しょうゆ、酒、砂糖で味をつけ、卵を溶いて蒸らして出来上がり。大人になった時、この子にとってのおふくろの味はきっとこれなんだろうな…。
 「はいよ」 差し出したどんぶりを手に、「いただきます」 空ろな目でゆっくりと口に運ぶ息子。高熱にもかかわらず、あっという間にたいらげた。「おいしかったよ」とニッコリ。少し元気が出たようだ。あれ、でも何か足りない気がするぞ…。あ、豚肉入れるの忘れた。(上原道子)

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