朝日ぐんまって 朝日フォトコンテストコラム

コラム

総局長日記

お金のはなし[10月11日号]

 「5320億円」。70年近い歳月をかけ、長野原町に完成する八ツ場ダムを造るのにかけた費用です。国内のダムでは最高額。今月1日に吾妻川の流れを止め、試験貯水が始まりました。数カ月かけて、500世帯近くが暮らした場所が水に沈みます。ゆかりの方々にとって、国民にとって、意義のあるものとなってほしいです。

 「3億2千万円」。これは関西電力の役員らが、高浜原発のある福井県高浜町の元助役(故人)から、2018年までの7年間に受け取った金品の額。元助役には原発工事の関連会社から資金が流れていたそうです。原発マネーをめぐる異常なやりとり。現金以外にも、金貨だとか、1着50万円相当のスーツ仕立て券だとか。安っぽいドラマのような現実です。このお金は、電気料金に含まれていますか?

 「マイナス12円」。電子マネーを使って、コンビニエンスストアでサンドイッチなどを買ったとき、「キャッシュレス還元額」としてレシートに記されていました。キャッシュレス決済へのポイント還元です。消費税が10%に上がりました。食品などは8%のままなので、増税前より安くなる計算です。

 そもそも消費増税って? 朝日新聞の過去記事を確認すると、膨らんだ借金減らしと社会保障の充実が大きな目的でした。でもその後、一部を幼児教育無償化などにも充てることで借金減らしの分は半減。「ツケ」が次の世代に回されるのかと思うと、マイナス12円のレシートが、重い。税金や公共料金。どう使われているのか、きちんとチェックしなければ。(朝日新聞社前橋総局長 熊谷 潤)

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上州日和

百衣観音と森村酉三[10月11日号]

 「白衣観音 慈悲の御手」 上毛かるたにも詠まれている高崎のシンボルは、建立から80年以上経った今も県民に広く愛されている。高さ41・8メートル、重さ5985トンと巨大で、観音山の山頂にデンとそびえ立つ姿は圧巻だ。

 百衣観音の原型作者として知られる伊勢崎出身の鋳金家・森村酉三の没後70年を記念した企画展が、高崎の県立近代美術館で開かれている。会場には森村作品に加え、恩師や同年代作家、妻・寿々の作品など約140点が並ぶ。金属を素材とした花瓶や燭台、動物をモチーフにした置物には、森村の高度かつ革新的技術と芸術的センスが光る。

 特に興味深かったのは、戦前から戦中にかけて作られた新田義貞像。県内の各小学校に設置されていた義貞像は、馬上の勇姿ではなく祈りの姿を象っており、上毛かるた「歴史に名高い新田義貞」の絵札のモデルにもなったという。

 初の本格的な回顧展は森村のマルチな才能と多彩な活動に加え、郷里の偉人のイメージや地域の風景の形成にも多大な影響を及ぼしている、類まれなる鋳金家だということを教えてくれた。

 芸術の秋、行楽の秋。今なお唯一無二の存在感を放つ百衣観音と森村の、歴史や功績に触れられるスポットを辿ってみてはいかがだろうか。(中島美江子)

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