必要なのは『大変だね』と共感すること」
みどり市出身でよしもとの「住みます芸人」プロジェクト群馬県担当として県内全域に出没し笑いを届けるお笑いコンビ「アンカンミンカン」ツッコミの富所哲平さん(33)。ぐんま観光特使や地元みどり市の観光大使などを務め、群馬のPRのため日々、活動中。本業のお笑いライブはもちろん、各地のイベントで司会などをこなす一方、家庭では一児の父として家族を支える。子育ての中で得たものや、家族円満の秘訣などを聞いた。
やれる時にやれることをする
Qイクメンですね
世のパパたちに比べたらそんなにやってない。掃除や洗濯などやれるときにやれることをする。定時に帰宅できないので、「お風呂はパパ」とか決められないです。警官だった父親は育児にほとんど関わらず反面教師ですが、自分も「イクメン」なんて言ったら先輩ママさんに怒られますよ(笑)。あと、子どもをほめてあげますね。基本、甘やかしでいいかなと。怒れないですよ、可愛くて。
Q出産はどうでしたか
東京出身の嫁は、僕が立ち合えるよう群馬で産むと決断してくれたのに、その日は東京で仕事でした。でも、ファンの方が籠原駅から桐生の病院まで送ってくれてなんとか出産に間に合いました。結局は帝王切開で立ち会えませんでしたが、生まれた時は感動しました。可愛かったっすよ、おさるさんみたいで。
Q子育てで妻と衝突することは
嫁は群馬の友だちゼロ状態でストレスがたまり、子育てを巡る衝突が多くなった時期もありました。一度、嫁と姑、嫁の叔母と僕で話し合いをしたことがありました。嫁に僕がアドバイスするが全く響かないのはなぜかという問題。解決への最短コースは、僕が出した答えを嫁が実行することと思うのに、うまくいかない。でも、その4者会議で分かったのは、嫁は解決方法を求めていないということ。僕が出来ることは話を聞いて「大変だね」って共感することだったんです。男女の考え方の「ズレ」を認識できたのは大きな進歩でした。で、最後に姑が「何だかんだいっても、哲ちゃんは真摯に向き合ってくれるいい旦那さんだよ」ってほめてくれた。その一言ですべてが報われました。 それから毎晩、お互い「ありがとう」と言って1日を終えようということになりました。家族のルールとしてもう一つ、「行ってきます」と「おやすみ」のチューも欠かさずしています。嫁と娘と両方に。
お笑いも子育てもサービス精神で
Q相方の川島さんはどんな反応ですか
ネタ作りは相方ですが、「イクメンイクメン言ってんじゃねー」「お笑いもやれよ」とか僕をいじるケースが多くなりました。でも、川島は娘に会ったら、全身全霊かけてあやすんです。子ども好きだから扱いは僕よりずっとうまい。一時期、「パパやだ、大ちゃん(川島)に会いたい」を連呼するようになった時は、娘にしばらく会わせないようにしました(笑)。
Q子どもが生まれたことで仕事への意識は変わりましたか
お金の生み出し方を考えるようになりました。いつもそろばんをはじいて物事を計算するタイプですが、今まで以上に責任を持って人とのつながりを大事にするようになりました。住みます芸人は、芸人とサラリーマンの真ん中に位置する気がする。お笑いも子育ても相手が求めていることをやるサービス精神が大切です!
Q子育てがお笑いに生きていますか
子どもは基本「ボケ」なので、面白い言動を見つけるのは楽しくて、お笑いに役立ちます。子どもの動画を撮る時はツッコミ目線ですけどね。
夫婦お互い「工夫」して
Qパパたちと、なないろ子育てというイベントをやっていますね
一昨年、県内の飲食店主や農家など異業種のパパで作った「なないろ子育て」という団体のメンバーに加えてもらって、なっぱ畑でイベントをやりました。パパたちは7色のエプロンつけ、子どもは「今年一番の笑顔を見せる」など7つのミッションをクリアするというもの(笑)。
Q今年活動10周年、群馬住みます芸人として5年を迎えます
より一層やり甲斐が出てきました。昨年、地元みどり市の小学校で初めて「漫才の授業」をやらせて頂きました。「人前でしゃべる能力の向上」をテーマに話した後、実際子どもたちにお笑いをしてもらいました。凄く盛り上がって本当にやってよかったと思いました。
Q今後の目標と群馬のパパにメッセージを
「群馬の有名人」になれるよう、今まで以上にがんばりたい。目標は中山秀征さん、井森美幸さんが務める「ぐんま大使」になること。子どもが大きくなり、色々理解するようになるので馬鹿にされないようにしっかりやりたいじゃないですか(笑)。あと、メッセージは、夫婦お互い「工夫」をして、仲良く乗り越えていきましょうかな。今日から県民全員、「行ってきます」と「おやすみ」のチューを子どもとしてみませんか? 奥さんともお忘れなく。
文・上原道子 撮影・谷 桂