イタリア北部の古都ボローニャで毎年開催されている、絵本や児童書の商業出版を前提とした、国際的なイラストレーションのコンクール「ボローニャ国際絵本原画展」。太田市美術館・図書館で開催している本展では、2019年に入選した76作家の作品など、約400点を展示しています。
このコンクールの目的は、世界中の才能ある作家を広く紹介し、イラストレーターの市場を広げることにあります。作家のキャリアを問わない門戸の広さが特徴で、新人イラストレーターにとっては大きなチャンスとなります。例年、世界中から多くの応募があり、今回は2901人にものぼりました。
本展の歴史は古く、日本では1978年に兵庫県の西宮市大谷記念美術館にて初めて開催されました。当時は絵本の原画展を美術館で実施することは稀な例でしたが、現在では毎年全国4~5カ所の美術館を巡回する、人気の展覧会となっています。
見どころは表現の多様性にあります。作品のテーマは様々で、作家オリジナルのストーリーもあれば、「白雪姫」など既存の物語を作家独自の解釈で描いた作品もあります。絵本や児童書という限定的な括りの中でも、各作家によってあらゆる技法で、様々な世界が表現されています。
オリジナリティ溢れる作品から、子どもの本におけるイラストレーションのトレンドや、将来の可能性を感じていただけるのではないでしょうか。作品の画面に垣間見える各地の景色や文化、または世界で共通の創意や傾向など、多くの発見を楽しんでいただければと思います。
また、当館は美術館であるとともに、世界各国の絵本・児童書を広く収集している図書館でもあります。本展と連動し、館内の図書エリアでも展覧会に関連した企画コーナーを設けました。美術展で気になった作家の本がありましたら、図書館でもぜひ手に取ってご覧ください。