芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。
漫才師、おぼんこぼん。日本一仲が悪いコンビとして注目され、「8年間プライベートでは会話がない」「漫才中も一切目を合わさない」「それなのにコンビの息はピッタリ」と様々な噂が流れておりますが、最近、ふたりの仲が回復するんじゃないか?と思える出来事があったので、今回はそのお話を。
爆笑問題が主催する『タイタンライブ』に出演した時の話です。前々から爆笑問題に「おぼんこぼん師匠をタイタンライブに出してよー」ってお願いしてたんですよ。仲悪いって事ばっかり話題になってて、本当の二人の実力が伝わってない気がしてたので。だから当日もマネージャーとして同行しました。自分は出ないのに。
お互いに浅草東洋館の出番を終え、こぼん師匠と一緒に会場へ向かいました。だいぶ時間があったので二人でハンバーグを食べ、コーヒーを飲み、たわいないお喋りをした後、会場入り。この状況、例えるならキャバクラで言うところの同伴出勤です。
会場に着き楽屋を探すと、ありました「おぼん様こぼん様控室」。二人が同じ楽屋です。危険です。トラとライオンを同じオリに入れるようなものです。仕方なくこぼん師匠と楽屋で待っていると、入って来ました!ライオンが、いやおぼん師匠が。いきなり私の姿を見つけ「何や!どこにおったんや!せっかく一緒に行こう思てたのにー」。私、モテモテです。モテモテキャバ嬢です。
さあ問題はここから。3人だけの楽屋です。
『部屋とYシャツと私』ではなく『部屋におぼんこぼんと私』です。『水曜日のダウンタウン』で見た光景。おぼんこぼんとマネージャー。二人のケンカに巻き込まれるマネージャーと同じ立場。しかし何故か穏やかな空気が流れています。「この弁当美味いなあー」とおぼん師匠。「こぼん師匠も食べます?」と私。「いや、それより会場の広さはどれくらい?」とこぼん師匠。「だいたい350人入るくらいですかね」と答えると「ちょうどええなあ」とおぼん師匠。二人の直接会話はないものの私を介して会話が成立しています。「猫ちゃーん、今日のゴハンどうしようかー」と猫を介して会話する倦怠期の夫婦の様相です。猫の気持ちが良く分かる!
その後、会心の舞台を終え打ち上げ会場へ。「今日は疲れたからすぐ帰るでー」と言ってた二人。よほど楽しかったのか最後まで残ってました。そして機嫌の良くなったおぼん師匠の口から衝撃のひとこと。「えー、みなさん!今年は、おぼんこぼん、仲直りします!」盛り上がる会場。すかさず立ち上がるこぼん師匠。にっこり笑顔で「絶対仲直りしません!」さらに盛り上がる会場。その瞬間二人の目が合い「ウケたなー」とうなずき合ったように見えたのはマボロシではないはず…。