2014年6月25日、 富岡製糸場が世界遺産に認定されました。それから丸2年。製糸場周辺には国内外から観光客が訪れ静かな街が一転、とてもにぎやかな観光地のような雰囲気に様変わり。「人がたくさんきて良いね」と言った意見もあれば、その一方で「一度見たしそれで満足」と言う声も数多く聞かれるようになりました。
訪れる方の多くは富岡製糸場の歴史を学び、「世界遺産になった場所はどんな所だろう」という知的好奇心を持っています。ただ、「富岡製糸場を見学したい」という単純な目的ではなく、「富岡製糸場を中心としたストーリーや歴史的背景を知り、教養をより高めたい」といったニーズが高いと感じます。
地域をおこすにあたって富岡製糸場に頼るのではなく、富岡の街だから富岡製糸場が栄えたといった見せ方ができないだろうか。絹糸の原料である繭をつくるお蚕さんを見てもらうことで、地域の伝統や歴史、文化に興味を持つきっかけがつくれないだろうか。さらには、消えゆく養蚕の危機を救う一手にならないだろうか。そんな思いから2016年4月、製糸場の東置繭所で生きたお蚕さんの生態展示をはじめました。スタートから2カ月余。お蚕さんを見たことがない人がたくさんいること、小学生以下の子どもがとても興味を持ってくれることなどが、とても印象的でした。
今後もお蚕さんの生態展示を中心に、歴史的・文化的教養を高められる仕組みをつくり、富岡に来た方がまた訪れたくなる街になるような活動をしていきたいと思っています。