きょう8月9日は高崎だるまの日

200年の歴史と伝統を次世代に
見て、作って、魅力を体感して!

鶴の眉と亀の髭(ひげ)が特徴の高崎だるま。今日8月9日は「高崎だるまの日」だ。生みの親・山縣友五郎(現・高崎市上豊岡町出身、1793~1862年)の命日で、彼の功績をたたえ後世に伝えていこうと県達磨製造協同組合が昨年制定した。今夏、同組合員の達磨職人が自宅敷地内に体験館やコレクション展示場をオープンさせたほか、市美術館では高崎だるまをモチーフにしたアート作品を展示するなど、高崎だるまにまつわる話題が目白押しだ。 (上原道子)

『高崎だるまの日』周知へ Tシャツ作成しPR

同組合内では6年前から「だるまの町づくりプロジェクト」を立ち上げ様々な取り組みを行っている。
まずは歴史を掘り起こすことに着手。江戸後期、人形職人を目指し江戸で修業をしていた友五郎が、疱瘡よけとして売られていただるまを郷里に持ち帰り作り始めたことが起源ということが明らかになった。

彼の功績を顕彰しようと一昨年から命日8月9日に菩提寺の常安寺で慰霊祭を開催。昨年には同日を「高崎だるまの日」として制定した。初年は工房をめぐるスタンプラリーやだるまの展示会など記念イベントを通し魅力を広く発信。今年もスタンプラリー(9日まで)と慰霊祭(同日午前10時)を開くほか、新たに高崎だるまをモチーフにしたPR用Tシャツを作成した。

同組合の吉田昌弘理事長(53)は「高崎をだるまの町として根付かせるために先達をたたえることはとても重要。今後もだるまの日を中心に色々なイベントを展開していきたい」と意気込む。

職人が自宅敷地内に 体験館と展示館オープン

「だるま体験館」で高崎だるま作りを楽しむ来場者ら。峯岸貴美次さん(左)が鶴の眉や亀の髭の描き方を丁寧に指導。周囲にはだるまグッズのコレクションが並ぶ。体験は600円~(繁忙期は除く)

高崎だるまの魅力を全国に発信しようと、高崎だるま製造業「中喜屋」(☎027・323・2220)5代目の峯岸貴美次さん(65)は今夏、自宅敷地内に製作工程が楽しめる「体験館」と国内外の多様なだるまを展示する「達磨館」をオープンさせた。体験館では、だるま(大中小3種類)の成型からひげ描きまで12工程のうち、希望工程を実際に体験できる。

6月に開館した「達磨館」で、高崎だるまなど国内外の多彩なだるまをバックに笑顔を見せる峯岸さんと妻・和子さん

一方、達磨館には中国の起き上がりこぼしを始め、台湾やミャンマーのだるま、日本全国のだるまなどが所狭しと並ぶ。峯岸さんは大学時代、旅先の仙台で出会った「松川だるま」に魅了され、以来、骨董市で購入したり知人に譲ってもらったりしながら数えきれない程のだるまを収集してきた。館内の約1000種類のだるまは色も形も多彩でユニーク。数が多く展示しきれないため今後、入れ替えも検討しているという。

展示と体験が同時にできる工房は珍しく、県外からも団体の研修やテレビ番組収録なども早速あったという。峯岸さんは「体験館・展示館を通して高崎だるまの作り方や歴史について広く知ってもらい、職人を目指したいという若者が増えてくれたら嬉しい。全国をけん引するだるまの一大産地・高崎の伝統工芸に誇りを持ち、次世代に繋いでいきたい」と期待する。

美術館では 圧巻の現代アート展示

高崎市美術館の壁一面に並ぶ高崎だるま作品「四七四六目」

壁一面に赤い高崎だるまがズラリ。高崎市美術館(☎027・324・6125)で開催中の現代アート展「3は魔法の数字」では、曲面壁を生かしたユニークな作品「四七四六目」が話題を集めている。

タイトルは、だるま2373体の目の数を表す。福島出身の3人組ユニット「three」が、高崎らしい展示をしたいと名物のだるまをモチーフに制作。展示スペースに合わせてだるまの成型を自ら行い、着色や顔描きなどは市内のだるま職人・永田嘉斉さんが担当した。来年1月には「お焚き上げ」まで行う。

同館の谷津淑恵学芸員は「目を書き入れたり祈りを込めたり、だるま本来の役割を投影した作品は、来場者の手が加わって初めて完成します。是非、作品作りに参加し、だるまの魅力を体感して」と呼びかける。なお、11日午後2時からはthreeと永田さんが作品解説を行う。

 

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