2020年の春は、天気の良い日が続きました。本当だったら、色々な場所に飛び出していきたい季節に、私たちは外出を制限しなくてはなりませんでした。そして、その状況は現在も続いています。
行きたい場所に行けない日々の中で、私はもどかしい気持ちでいっぱいでした。行けなくても、その場所を大切に思う気持ちは変わりません。しかし、その気持ちを表現する術が無いのです。何かできないかと考え、私は「街を詠む」という、Facebookページを今春、開設しました。
このページは、街について綴った詩を、自由に投稿できる場です。自分にとって大切な場所を、詩で表現することで、街にエールを送ることができるのではないかと考えました。
早速、前橋の詩人仲間に声をかけると、詩の寄稿はもちろん、広報なども積極的に協力してくれました。そのお陰で、沢山の方が詩を寄せて下さいました。なかには、人生で初めて詩を書かれた方もいらっしゃいます。
これまで寄稿頂いた詩は、70編。詩に描かれている場所は、近所の公園、図書館、散歩道、居酒屋、遊園地など様々です。皆さん、大切な場所への想いを、心を込めて綴ってくださいました。詩の一つひとつに胸が熱くなりました。参加下さった方々に、感謝でいっぱいでしたが、不思議なことに「このページを作ってくれてありがとう」と逆に感謝して頂くことが多くありました。皆さん、私と同じように、好きな街に好きだと気持ちを伝えられる場が欲しかったのだと、言って下さいました。それだけで報われた気持ちです。
日常的に訪れていた場所に、行けなくなってしまうこの状況は、いまだかつて人々が経験したことのない局面であると思います。戸惑い、心に堪える日々の中で、ことばによって少しでも気持ちが和らいだら良いな。そんな思いで、これからも「街を詠む」を続けていきます。現在は「食べる」というテーマで街の詩を募集しています。さて、どんな美味しい詩が投稿されているでしょう?ぜひご覧になってみて下さい。
街を詠む https://www.facebook.com/machi.wo.yomu/