会場から聞こえてくる、作り手の息遣い感じて
絵本って不思議です。物語や絵の記憶とともに、読んでくれた人の声、におい、ぬくもりがよみがえってきます。だから、絵本原画展には、美術展とは違う時間が流れるのかもしれません。
NPO法人時をつむぐ会は、1995年から絵本原画展を開いています。今回は「ブロンズ しょうかい しようかい」。子どもだけでなく幅広い世代が大好きな絵本を作るブロンズ新社は、何を思い、どうやって本を作り上げていくのでしょう。出版社の全面協力により、絵本が生まれるまでの誕生秘話や作家の個性が形になり届けられるまでの人・人・人の応援団の声が会場全体を包みます。6作家12冊の絵本、約200点の原画でブロンズ新社を紹介します。
まず、会場に入ると出迎えてくれるのが『しろくまのパンツ』で大人気のtupera tupera (ツペラツペラ)さんの新刊『ともだち しょうかい しようかい』。
その後は、かがくいひろしさんの泣く子もだまる「だるまさん」シリーズを始め、旭山動物園で25年飼育員をしていたあべ弘士さんの『クマと少年』や「取材力と構成力が天才!」と編集者お墨付きの鈴木のりたけさんの「しごとば」シリーズ、酒井駒子さんの絵と抄訳で生まれた『ビロードのうさぎ』、「小学生がえらぶ!〝こどもの本〟総選挙」(2018年)で10位内に4冊も入ってしまうヨシタケシンスケさんのデビュー作『りんごかもしれない』などが続きます。
絵本誕生のプロセスはもちろん、黒の下塗りの上に描かれる酒井駒子さんの原画など、本物ならではの魅力も必見。さらに、絵本の制作風景を大画面に映し出す部屋「うごくブロンズ新社」も、今回の見所の一つです。30本用意したので全部見ると90分かかりますが、出入り自由なので気楽にお楽しみ下さい。
会場のあちこちから、作り手の息遣いが聞こえてくるような展覧会。赤ちゃんを抱っこし声をかけながら、お父さんお母さんに文章を読んでもらいながら、一冊の絵本を本物の絵でじっくりと味わって下さい。スタッフ一同、会場でお待ちしています。