イチゴの季節がやってきた。行きつけのクレープ店では、花びらのようにイチゴを並べた華やかなメニューが登場。洋菓子店のウインドーにもイチゴをぎっしりと敷き詰めた贅沢なストロベリータルトが季節限定で加わった。
定番のショートケーキの上には1年を通して載っているが、夏場に見かけるイチゴは実は輸入物。国産イチゴをたっぷり挟んだイチゴショートを堪能できるのは、冬~春のこの時期だけだ。
母はよく、指先でギュウギュウとつぶしたイチゴに砂糖と牛乳をかけて出してくれた。果肉の歯ごたえや芳醇な香りとともに、ミルクと絶妙に混じり合う甘酸っぱい果汁を味わう時間は、まさに至福の時。昔のイチゴは、そのまま食すには酸味が強すぎたからなのか。我が家のイチゴの食べ方といえば必ずこのスタイルだったので、純粋な味を知ったのは大人になってからだ。
今、群馬のオリジナル品種「やよいひめ」が旬を迎えている。農家いわく、粒が大きく、暖かくなる3月でも高い品質なのが特徴で5月、6月までどんどん美味しくなっていくのだとか。
よし。やよいひめは何も手を加えずそのままほおばることにしよう。群馬が生んだ甘さとコクと香りを期間の最後まで堪能し尽くしたい。
(上原道子)