カワイイ、キレイ、ステキ…  好きなもの、 感動したものを作品に

毛糸アート作家 勅使川原佑子さん(37)

桐生と前橋で近・新作を発表

「観た人の気持ちを明るくする作品を作りたい」と勅使川原さん=ダイハツ前橋みなみ店

カワイイ、キレイ、ステキ 高崎在住の勅使川原佑子さん(37)は自分が好きなもの、感動したものを、作品にしている。一見、絵画のように見えるが使用しているのは絵具ではなく色とりどりの毛糸。その表面は立体的で、柔らかな温もりと陰影に包まれている。現在、ゴッホの作品や旅先で出会った風景、お気に入りのコーヒーカップ、ふと目にした草花などを表現した近・新作を、桐生と前橋で展示中だ。「観た人の気持ちを明るくするような作品を作りたいですね。毛糸が織りなす風合いやグラデーションを間近で見て、体感して下さい」と話す。

幼い頃から手芸やお絵描きが好きだった。美術短大卒業後はネイリストとしてサロンに勤務。その傍ら8年程前から、「毛糸アート」と自ら名付けた作品の創作を続けている。「きっかけはゴッホの絵です。東京で開催された美術展で本物を間近で観たのですが、その素晴らしさに圧倒されてしまって。部屋に飾りたいけれど印刷物では物足りない。だったら自分で真似して作ってみようと思いました」と笑う。

「8月の尾瀬ヶ原~至仏山を望む~」(2018年)

素材は、風合いや質感が好きだった毛糸をセレクト。ボードに下描きした後、全面に両面テープを張り色と太さのあった毛糸を部分的に細かく張り付けていく。その作業工程は試行錯誤の末、独自に編み出した。ハガキ大の作品で、制作日数は2~3週間かかるという。「毛糸は色んな太さと色彩があり、その表情は繊細で微妙に違います。数ある中から、自分が求めている色や質感の毛糸を見つけた瞬間が最高に楽しいですね」と語る。

3年程前からはゴッホの絵画だけでなく、尾瀬の風景や庭に咲く花、食卓の果

「チューリップ」(2020年)

物、お気に入りのカップなど、日常や旅先で出会い、琴線に触れたものをモチーフにして制作している。その際、心掛けているのは、「作品には作り手のエネルギーが入ると思うので、気持ちが乗らない時は無理をしない。そして、心が動かされたモチーフに出会った時は、鮮度が落ちないうちに形にするようにしています。感動や喜び、素材の温もりなど感じてもらえたら嬉しいですね」と笑顔を見せる。桐生の伊東屋珈琲2号店(0277・46・7878)での展示は28日まで。ダイハツ前橋みなみ店(027・265・3555)での展示は常設。いずれも入場無料。 (中島美江子)

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