コロナに負けない! 織都・桐生の技を結集!オリジナルマスク製造

デザイン性のあるタイツのブランド「USUI AKIKO」を手掛けるうすいあきこさんは、紫外線カットや保湿効果もあるタイツ素材にスワロフスキーのクリスタルで装飾を施したおしゃれなマスクを販売

「ピンチをチャンスにプロジェクト」 桐生商工会議所が展開中

桐生商工会議所は、新型コロナウイルスの影響を受けている地元の産業を応援する「コロナのピンチをチャンスにプロジェクト」を立ち上げた。マスク不足が続く中、シルクや立体、レースなどオリジナル商品の製造販売に乗り出した桐生・みどり市内の繊維業者をHP上で紹介する応援サイト「made in  桐生のマスク」が好評だ。(上原道子)

 

需要と供給のマッチング

織物の産地として名高い桐生地域には、婦人服地を中心とした多様な織物製造会社があり、刺繍や縫製、レースのほか、意匠、撚糸、染色など織物関連の工程を担う企業も多い。

染色加工業の金井レース加工は肌に優しい染料や天然コラーゲンを使用した女性のためのレースマスクを製造する

コロナ感染拡大を受け、桐生商工会議所が3月上旬にその影響について会員向けにアンケート調査を行ったところ、売り上げの落ち込みに加えマスクや除菌剤の不足など、大打撃を受けているという意見が多く寄せられた。そこで、詳しい聞き取りを行うと、もともと別の業種で営業していた市内ものづくり企業がマスクを作って売り始めたという事例が浮き彫りに。同会議所は、4月6日からマスクを手掛ける企業をまとめてHP上で紹介する応援サイトをスタートさせた。

現在、繊維メーカーや染色、服飾業など15社のマスクと、4社の除菌剤を掲載し各商品の特長や値段、販売店舗の情報などをまとめて紹介している。実際、HPで知ったという消費者からの問い合わせも増えており、同プロジェクトが地場産の応援に一役買っている。

職人技、不安解消に一役

許技術を使ったイヅハラ産業の高機能マスク

独自の技術で婦人服を手がける桐生のイヅハラ産業(赤石重男社長)は、コロナ以前から天然素材で100回以上の洗濯にも耐える立体マスクを販売。最近、HPを見たという問い合わせが急増したという。防臭やUVカットのほか、美肌効果のあるシルクプロテイン加工、抗菌性のある銅撚糸などを取り入れた高機能マスクは、長年の婦人服製造で培った技術を駆使しデザイン性にもこだわる。5年前からマスク開発に取り組んできた赤石社長は「我々作り手には皆が安心して使えるものを丁寧に作る役割と、資源の無駄遣いを食止めねばという使命がある。マスク不足の今こそ、一人ひとりが使い捨て文化について考え直す時ではないか」と訴える。

桐生手ぬぐいを使った平賢の手ぬぐいマスク

こいのぼりなどの染色を手掛ける同市の「平賢」(平田伸市郎社長)では、自社ブランド「桐生てぬぐい」のうち、柔らかなストール用生地を使用したマスクの製造販売を開始、「会議所のHPを見た」という人の注文が増えているという。同ブランドを3年前に立ち上げた同社3代目の小山哲平専務(36)は、「多くの人の不安解消に役立つと同時に、桐生てぬぐいの良さを知ってもらうきっかけにもなれば」と期待を寄せる。

また、インテリア繊維製品の企画開発を行うみどり市の「ジューク19」(森田和之代表=0277・47・7914)では、購入時の「三密」を防ごうと今月25日にドライブスルー販売会を行う。抗菌&抗ウイルスマスク(5枚セット税込3300円)と抗菌マスク(同3000円)で、いずれも洗える。

新提案で地場産守りたい

応援サイト運営を行う同会議所は、今月5日に設立80周年を迎えた。石原雄二専務理事(67)は、「コロナの影響が長引き先の見えない厳しい状況の中、各業種が自発的に活路を求めています。今は力を合わせて難局を乗り切り、皆で節目を祝えるような状態になることを祈るばかりです。会議所としてもどんどん新しい提案をし、繊維の町・桐生の産業を全力で守っていきたい」と話す。

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