ご利益願う新商品、県内でも続々
熊本の海から光輝く姿で現れ、疫病から人々を守ると伝わる妖怪「アマビエ」。新型コロナの流行を受け全国で話題となり、早期収束を願う職人たちにより様々なアマビエ商品が生み出されている。「疫病が流行ったら私の写し絵を早々に人々に見せよ」と言って海中に姿を消したという伝説から、独自のアマビエを描きSNSで発信する人が急増中。かつて「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげるも描き、厚生労働省も不要不急の外出や「3密」防止の啓発アイコンとして利用している。続々と誕生している県内のアマビエ商品の一部を紹介します。 (上原道子、塩原亜希子)
水澤観音で祈祷受けた清酒 ◆日本酒《吉岡》
柴崎酒造(吉岡)は、「本造り アマビエラベル」を発売。「蔵元として何かできることはないか」と4月中旬に商品化した。厚生労働省が公式アイコンとして利用している江戸時代の瓦版の絵を忠実に再現したラベルは酒や御札と共に、渋川の水澤観音で祈祷を受けた。第1弾は先月28日に発売後、数日で完売。営業マネージャーの梅山淳一さんは「ラベルは玄関に飾ったり財布の中にしまったり、おまじないとしてそばに置いて」と話す。720ミリ㍑(税込822円)=写真=に加え、神棚へのお供え用に300ミリ㍑(税込470円)も。群馬酒販を通じ、県内の酒販店などで第2弾を販売中。売り上げの一部は医療従事者へ寄付される。同社(0279-55-1141)。
カラフルで優しい雰囲気 ◆こけし《榛東》
卯三郎こけし(榛東)は、カラフルな「アマビエこけし」(税込3080円)を販売。コロナの流行を受け5月の全国こけしコンクールや物産展などの中止が相次ぐ中、1日でも早い収束を願い考案した。江戸時代の瓦版に残るアマビエの絵を参考に、長い髪にくちばし、腹部に魚のようなうろこ模様を入れ、優しい雰囲気になるよう明るい色彩で絵付けをした。高さ約7㌢と小ぶりで愛らしい。公式HPのオンラインショップで発売中。同社(0279-54-6766)。
約30作家のイラストを包装に ◆紅茶《前橋》
ギャラリーアートスープ(前橋)は、紅茶専門店「ティーストアー」(同)とコラボし「疫病退散☆アマビエ茶」(税込880円)をオンラインで販売中。数種類のセイロンティーに生姜とシソ茶をブレンドしたオリジナルティーで、パッケージにはクリエイター約30人によるオリジナルイラストを使用。売り上げの一部は新型コロナウイルス感染症拡大防止活動基金へ募金される。ウェブショップ(https://artsoup.buyshop.jp/)でパッケージを選んで購入。アートスープ(galleryartsoup@gmail.com)。
パステル調で心穏やかに ◆だるま《高崎》
だるまの幸喜(高崎)では、アマビエのミニだるまを制作。「見る人の心が穏やかになるように」とパステル調の淡い色でまとめた。販売初日の今月8日、購入者第1号となったのは近くで飲食店を営む佐藤万喜子さん(54)。コロナの影響を受け、料理提供は昼のみで、夜はテイクアウトに切り替えた。佐藤さんは、「だるまの御利益にあやかり早く元に戻りたい。アマビエだるまは店に飾りお客さんに和んでもらえたら」と語る。価格は「コロナ」がなくなってほしいという願いを込めて、逆のごろ合わせの765円(税別)に。高さ約6㌢。同社(027-344-1043)。
ぐんまちゃんの生みの親デザイン ◆てぬぐい《高崎》
中村染工場(高崎)は、9日から県のマスコット「ぐんまちゃん」の生みの親、中嶋史子さんがデザインした手ぬぐいを発売。瓦版の絵をリアルに再現した「アマビエ様」(幅34㌢、長さ90㌢。税込1100円)=写真=と、愛嬌のあるイラストをちりばめた「アマビエちゃん」。アマビエちゃんは通常サイズ(同)に加えハンカチサイズ(長さ45㌢、税込660円)も。同社(027-322-5202)。
個性的な練り切りズラリ ◆和菓子《高崎、前橋、桐生》
和菓子界でも、個性的でユニークな顔立ちのオリジナルのアマビエが続々登場。
鉢の木七冨久(高崎=027-322-6001)では形はリアルに、色は愛着を持ってもらえるよう明るい色合いにした上生菓子(税込540円、アマビエ解説書付き、要予約)を発売=写真①。外側はヤマトイモ入りの練り切りで、中は小豆のこしあん。石川久行社長は「スマホの待ち受け画面でお守り代わりにして」と呼びかける。
六郎(高崎=027-363-1480)は、マスコット的な愛らしい2種類の「アマビエ様」を制作=写真②。中は胴体が宇治抹茶あん、顔がミルクあんで一緒に食べると抹茶ミルク味に。「平穏」の花ことばを持つ花「鈴蘭」の上生菓子2個も入った「疫病退散セット(4個入り、冷凍)」としてネットショップ(http://rokurou.jp/shop/)でのみ販売中だ(税込1460円)。
一方、デフォルメされたアマビエ和菓子も登場。前橋の新妻屋は波をイメージした図柄に加え、髪、くちばし、うろこなどの特徴だけを取り込んだシンプルなデザイン。中身は小豆のこしあんで上生菓子(税込248円)と焼き菓子(同216円)の2種=写真③。
本店(027-221-5222)、青柳大師店(同237-0027)の両店で扱う。
高崎のトレフル観味堂(027-362-7208)は、特徴をふまえつつ全体的に丸みを帯びたフォルムに=写真④。税別210円。
また、桐生の舟定(桐生=0277-44-5475)は口や目を強調したユニークな表情で、色合いは海のイメージの青系を用いた爽やかな一品だ=写真⑤。税込324円。