代替え旅行に笑顔こぼれる
海外から国内へ 県外から県内へ 宿泊から日帰りへ
高崎箕輪小、沼田多那中、共愛学園高
「普段とは違う学びの場」であり、子どもたちにとって「一生の思い出」となる学校行事でもある修学旅行。コロナ禍を受け県内でも、、やむを得ず中止にした学校が多いが、実施した学校でも状況は様々。10月に文部科学省が「中止ではなく延期する検討を」と呼び掛けたこともあり、日程調整に苦慮しながらようやく実施できた学校もある。行き先についても、海外から国内へ、県外から県内へといずれも近場へ変更する傾向に。感染対策を徹底しつつ代替えの旅行を実施した3校を紹介する。 (谷 桂)
県内の日帰り旅行で思い出作り
高崎市立箕輪小は、例年1泊2日で神奈川県の鎌倉方面への修学旅行を実施していたが、今年は代替えとして、県内の日帰りプランに変更。6年生88人は、10月13日にみなかみ町のたくみの里や高山村のロックハート城で校外学習を実施した。
6年生の小泉惇さんは、「リンゴ狩りやおいしい食事を経験できて、良い思い出ができました」と話した。同じく6年生の霞沙彩さんは、「グループのチームワークが良くて、楽しい体験になりました」と笑顔を見せた。
同小の小島明校長は、「子どもたちは良い思い出を作ることができたようです。行けたことに感謝しています」と話した。
保護者からも同意得て
沼田市立多那中は、毎年、2泊3日で京都・奈良へ行っていた旅行を、県内日帰り旅行に変更。同中学が代替え案を保護者に説明すると「行かせてあげたい」と同意の声が多く寄せられ、実施を決めたという。3年生12人は、密を避けるため55人乗りの大型バスで移動。スポーツアクティビティが充実するみなかみの宝台樹キャンプ場では四輪バギーを初体験し、昼食で利用した沼田市内のホテルでは、本格的なフランス料理のコースを前に「キャリア教育のためのテーブルマナー」を学んだ。ロックハート城では、生徒が提案したプラン「ドレス体験」や「謎解きゲーム」を楽しんだ。
同中の瀧聞京子校長は、「生徒が企画したアイデアを盛り込み、近くても普段はなかなか行けない地元を再発見できた。生徒は旅を全力で楽しみ、貴重な機会になった」と振り返った。
海外ホームステイ取りやめ、国内に
県立高等学校では、25校が中止、38校が日程や行き先の変更を検討中(10月30日現在)。例年の旅行先は台湾や沖縄が多かったが、今年度は、東北や関西へ変更したり、次年度への延期を検討している高校もある。
私立高校でも、代替えの旅を模索。共愛学園高校(前橋)では、毎年、継続して行ってきた海外交流や語学研修旅行を国内に変更した。
英語科進学コース2年生80人は、毎年ニュージーランドへのホームステイ研修を行っていたが、今月2~5日に3泊4日でイギリス文化が学習できる福島のテーマパーク・ブリティッシュヒルズや岩手の平泉などへの訪問に変更した。
高2の森田澪さんは、「英国や東北地方の文化に触れることで、コロナ禍でも異文化への理解を深めることができました」と体験を語った。天川正 副校長は、「難しい判断を迫られましたが、生徒の皆さんの笑顔に救われる思いです」と話した。
また、英語科特進コースでは、イングランドにホームステイ18日間を予定していたが、4泊5日の広島、長崎旅行に変更して実施するという。
「安全、近場、短期」に工夫して模索
県教育委員会は、「感染の収束が見えない中、児童生徒の一生の思い出になる修学旅行を何とか実現しようと、学校も時期や場所、安全対策などを工夫した。中止の場合も、代替え体験や、日帰りも含めて慎重に検討してほしい」と呼び掛ける。
「安全に」「近場へ」「短期で」—形や内容を工夫した修学旅行の実施に向け、今後も学校現場の模索が続く。