先週の小欄で、高崎市の上野三碑を訪れたことを報告しました。帰ってスマートフォンを開き、ギョッとしました。「山上碑はいかがでしたか?感想を書き込んでください」との表示。なぜスマホが知っている?
理由は明らか。スマホの地図アプリで道順を検索したからです。人工衛星を使った位置情報計測システム(GPS)は便利ですが、自分の行動を把握されるのは気持ち悪い。アプリを閉じるとGPSが切れる設定に変更しました。
報道の仕事では、カメラの日時設定やGPS機能をオンにして撮影するよう推奨します。画像データに撮影日時や場所が埋め込まれ、真性の保証になるからです。データは、ネット上に浮遊する画像の嘘を見抜く手段にも使えます。
逆にこのデータから、狙った人の住所を割り出す悪意の人もいる。だから、ツイッターやインスタなどSNSに投稿する写真はGPSをオフにして、という呼びかけを「子どものスマホ・トラブル対応ガイド」(ぎょうせい刊)で読みました。
著者の安川雅史さんは、ネットを介したいじめやトラブルの相談にあたる元高校教師。挙げられた「スマホルール32カ条」は、弊社内のSNS研修や若手研修の内容にも相通じ、うなずきながら読了しました。
県教委によると、スマホを持つ高校生は98%に上り、中学3年で76%、小学6年で55%。ならば、スマホ時代の新たなマナーや倫理的行動、危険回避のための、成長に応じた学びを支援しなければ。家庭だけでなく、専門家の手も借り、学校や社会で知恵を出し合い、子どもの自立を助ける時期に来ています。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)