自分で作り出す楽しさ伝えたい
コロコロ、コネコネでふくらむ創造性と想像力
「ねんドル」として活躍中のタレント岡田ひとみさん(高崎出身)。NHK Eテレのテレビ番組では、「おねんどお姉さん」として優しい笑顔と粘土パフォーマンスで子どもたちを魅了しています。粘土の魅力や親子での楽しみ方などについて聞きました。
ねんドルとして活躍中
Qねんドルとは?
「ねんドルとは粘土を使ってミニチュアフードなどを作ったり教えたり、パフォーマンスする子どもたちのアイドルのことです。02年に『これから 〝ねんドル〟 として活動します』と宣言しました。以来、子ども向け番組への出演や粘土造形の個展を開くなど活動を展開しています」
QNHK Eテレ「ニャンちゅうワールド放送局」に出演していますね
「世界中の食べ物や動物を粘土で作る『おねんどお姉さん』として、雲の上に住んでいる上品でおしとやかな、子どもたちから愛されるキャラクターを演じています。粘土のマカロンのボタンが付いているカラフルな衣装も、自分でデザインしました」粘土の楽しさを広めたい」
粘土の楽しさを伝えたい
Q子どもに粘土を教えるきっかけは?
「子どもの頃から女優になりたくてデビューしましたが、歌も外見も演技も飛び抜けたところはなく、『私は何が好きで、何ができるんだろう?』と悩みました。その時、洋裁や物作りが趣味だった母をまね、粘土細工をしていたなと。『自分は粘土が好き』と気付き、粘土の楽しさを子どもに広める活動をしようと決めました」
Qいつも心がけていることは?
「テレビで見たお姉さんに直接会えると、喜んで来てくれる子どもが多いので楽しい時間になるよう心配りをしています。教室の参加者は毎回違うので、1度だけの出会いになるかもしれません。子どものサインを見逃さず、交わした一言が子どもの心に届くようにしたいです。いただいたお手紙は、できる限りお返事を書いていますよ」
Q子どもに伝えたいことは?
「きれいにとか、見本どおりにではなく、例えばイチゴだったら世界に1つしかないものが出来たら素敵ですよね。お金で購入すれば全て済んでしまうのではなく、欲しいものがあったら自分で作り出す楽しさを伝えたい。そして『作りたい』と思ったら、対象物をよく知らないと作れない。イチゴを切ると見える白い筋は、周りのツブツブにつながっているとか旬はいつかなど。観察や学習の大切さや楽しさも伝えたいです」
Q粘土は子どもの情操面に役立つ?
「教室では、あえて絵の具やはさみを人数分置きません。道具をお互いに譲り合ったり、ゴミを率先して片づけることで創造性と協調性が共に養われますから、子どもの情操を豊かにする上で大いに役立つのではないでしょうか」
Qミニチュアフードを作るのはなぜ?
「とっても食いしん坊なんです。食べたいな、と思うものを作りたくなる。 〝興味あるものを作る〟 ことが上達する秘訣かなって思います。ケーキやスパゲッティ、肉まん、おすし、天丼など多くのミニチュアフードを作りました。オムライスではお米を一粒一粒『コロコロ、コネコネ』、薄くした玉子にくるんで、粘土で作ります。『お料理を手伝ってくれて、好き嫌いがなくなりました』と後でママさんから言われると食育にも役立っているのかなと感じます」
Q親子で粘土を楽しむには?
「親子教室ではお父さんやお母さんの方が真剣。『できた!』って、童心に返って声を上げているお父さんの笑顔を見て、子どももよろこんでいます。粘土は子どもでも大人でも、1人ひとりの個性が出るところが魅力の一つです。粘土に正解はありません。親子でたくさん会話し、コミュニケーションを取るきっかけになればいいですね」
群馬の原風景が原点に
Qこれから制作したいものは?
「2年前に高崎にある母校の小学校の子どもと『みんなの森』という大型粘土作品を制作しました。群馬の自然をテーマに、山や森、昆虫や動物を一緒に粘土で作りました。その後、うれしいことに、映画『思い出のマーニー』のテーマ曲などを手がける音楽家で友人の村松崇継さんが作品のイメージ曲をつけてくれました。とても楽しかったので、今後もまた、大勢の人が関わってくれる粘土作品に挑戦したいです」
Q群馬の親子にメッセージを
「何か新しく作ろうとする時は、いつも小さかった頃の群馬の風景を思い出します。妙義山や榛名山、森、公園、自宅の食事や食卓、おやつ、家族の笑顔など、郷里で過ごした密度の濃い原風景が作品を創造する原点になっています。群馬はいい所です。これからも生まれ育った地で群馬の自然や食べ物を、お母さん、お父さん、子どもたちと一緒に粘土で作っていきたいですね」
聞き手・谷 桂/写真・高山昌典