夢は小さなコンサート
うたのおねえさんから2児の母へ
NHK番組「おかあさんといっしょ」の「うたのおねえさん」として99から03年まで活躍した沼田市出身のつのだりょうこさん(37)。05年の結婚後、2児を出産し、現在は子育てと仕事を両立している。親として女性として成長している、つのださんに子育ての楽しみや将来の夢を聞いた。つのだりょうこ(タレント)
親になる大変さを実感
Q2児のママと聞いていますがお子さんはおいくつですか?
「7歳の男の子と1歳半の女の子です。年齢がちょっと離れているのですがお兄ちゃんが妹の面倒をみてくれて、毎日助かっています」
Qどんな子育てライフでしょうか?
「『うたのおねえさん』でしたが、いまは普通のママです(笑)。近くの公園で遊んだり、童謡を一緒に歌ったりしています。子育てって忙しくて大変だなって思うこともありますが、子どもの笑顔をみるとかわいくて、頑張ろうって思えるんです」
Q子育てで大変だと感じたことは?
「出産のとき沼田へ里帰りせずに都内で産んだのですが1人目のときは不安でいっぱいでした。初めてのことばかりでなかなか慣れずに苦労しました。うまくできない自分に、ドーンと落ち込んでいました」
Q悩んだときがありましたか?
「『うたのおねえさん』だった自分とのギャップや気恥しさから、周囲の人に助けを求めることができず、悩みを抱え込んでしまいました。だから子どもの悲しい事件が報じられると、ひとごととは思えません」
Qどのように乗り越えましたか?
「出産1年後にNHK番組『すくすく子育て』のお話をいただきました。長男を仕事場に連れていくことも考えましたが、その時、女性プロデューサーが『1人になることも大切』と助言してくれたので、思い切って預けることができました。子育ては休みがないので1人の時間を作ることが大事だと気づきました」Q沼田の学生時代は?
沼田から東京へ
Q沼田の学生時代は?
「生まれは沼田ですが父の仕事の関係で大宮や宇都宮に行き、中学2年で沼田に戻りました。高校の時は音大を目指していたので、東京までピアノレッスンに通っていました」
Q「うたのおねえさん」のきっかけは?
「武蔵野音大4年生のとき大学の掲示板に『うたのおねえさん募集』という張り紙を見つけました。ピアノ専攻で歌に自信はなかったのですが、オーディションに合格し、18代目『うたのおねえさん』として4年間出演しました」
Q「うたのおねえさん」の経験が、育児に役立ったことはありますか?
「子どもたちと遊ぶのには慣れていましたが、育児で落ち込み負のスパイラルに陥っているときには、全く役に立たなかったです。番組の子どもたちは3歳児でコミュニケーションが取れましたので、0歳児の育児には参考になりませんでした」
母との思い出
Qママになったことで母親への気持ちに変化がありましたか?
「息子が2カ月の時、泣き止まず途方にくれていると、実家の母が抱っこして子守唄を歌ってくれました。するとすぐに寝息を立てて寝てしまいました。歌は上手くないけど(笑)、ママビギナーの自分とは違う安心感があったのでしょう。私とふたりの弟を育ててくれた母の偉大さに感動しました」
Q母親との思い出は?
「小学生のある日、専業主婦だった母が突然、山に行こうと言い出し、沼田の自宅から車で約1時間、さらにロープウェーで山頂へ。お弁当を2人で食べてすがすがしい気分になったことがあります。2児の母になった今だからリフレッシュしたかった母の気持ちに寄り添えます」
Qタイトル「DIAMOND」に込めた思いは
「自分の誕生石と小学1年から中学3年までやっていた野球のダイヤモンドをかけています。さらに、自分をもっと磨いてダイヤモンドのように輝かせたい、手にしてくれた方をダイヤモンドのような笑顔にしたい、そんな願いも込めています」
Q帰省した際に子どもを連れていきたい場所は?
「高山村の県立ぐんま天文台です。好奇心旺盛な子どもたちに都内とは違う空を見せてあげたいですね」
子育ての幸せ
Q子育てで成長できたことは?
「子どもから多くのことを教えてもらっている気がしています。かつて母が自分の時間のすべてを費やしてわたしを育ててくれたように、わたしも子どものためにできるかぎりのことはしたいと思います。子育てを楽しみ、家族みんなで笑い合うことが幸せと感じられるようになったことが一番の成長だと思います」
Qこれからの目標は?
「『うたのおねえさん』のときは大きなホールで歌わせてもらっていましたが、ママになったいまは子どものためだけではなく、お母さんやお父さんも楽しめる小さなコンサートをやってみたいと思います。わたしのふるさとである沼田で小さな『森のコンサート』を開くことが夢です」
聞き手・谷 桂/撮影・伊藤寿学