「自分の思い」をボールに乗せて
「もう一度プレーできる環境を与えてもらった。神様から、『まだ、辞めるな』と言われたような気持ち」
【気持ち新たに再スタート】
Q新チームが始動しました
「自分を含め選手全員が気持ちを新たに再スタートを切った。チーム名は変わったが、今までと変わらず一生懸命プレーするだけ。ソフトを続けられる環境を与えてくれた『ビックカメラ』に深く感謝している。だからこそ、一層頑張らなきゃなという気持ちが大きい」
Q意識の変化はあったか
「新チームや勝利にどう貢献できるか。ルネサスからビックカメラ高崎になっても求められる結果や自分がやるべきことは変わらない。投手の出来一つで勝敗が決まるので、絶えず自分と向き合い課題や不安を一つひとつ克服し開幕を迎えたい」
Qコーチも兼任しているが
「メンタル面も含め、若い選手が結果を残せるような指導を心掛けている。投手は特別なポジション。『自分の思い』がボールに伝わるので、実力だけでなく気持ちが大きく左右する。後輩が分からないことに、きちんと答えられる先輩でいたい」
Q高崎でプレー出来ることは
「活動拠点が変わらずに、同じ仲間と同じ環境でやれるのは選手としてありがたいこと。地域の思いにしっかりと応えていきたい」
Q高崎はどんな場所ですか?
「高校卒業と同時に高崎に来た。あと数年経てば故郷の福岡で過ごした年月と同じになる。もう『第2の故郷』。帰ってくる場所は高崎です」
Q高崎の好きなところは
「百衣観音。遠くから見ても近くから見ても凄い存在感。観音様が高崎を見守ってくれていると感じる」
【五輪は「夢の舞台」】
Q先月の国際オリンピック委員会臨時総会で、ソフトが東京五輪で復活有力種目になりました
「率直にうれしい。これまでは半信半疑だったし実際、何度も苦い思いをしてきたから。先月の会議で五輪復活がようやく現実味を帯び、明るい希望が持てるようになった」
Q五輪復活への思いは強い
「選手として五輪種目かどうかは大きなこと。国際大会で『BACK SOFTBALL』のボードを掲げ復活を呼び掛けてきた。世界中のソフトボーラーや次世代の子供たちのためにも復活して欲しいと強く願っている」
Qオリンピックとは?
「特別な場所。目指すだけの価値があり、あそこでしか得られないものがある。生半可な気持ちでは絶対立てないし、そこへ行くには苦しいことばかり。でも、苦しさを乗り越えた人だけが味わえる喜びは言葉では言い表せない。まさに『夢の舞台』」
Q北京五輪後、ソフトが五輪種目から外れました。どのようにモチベーションを繋げたか
「金メダルという大きな目標を達成したことで、燃え尽きてしまった面もあった。今後どうしたらよいか悩んでいた時、宇津木麗華監督に『これからはソフトボールに恩返ししなさい』と言われ気持ちが切り替わった。それまでは『自分のため』という思いが強かったが、それ以来、『周りのために』という意識になった」
Q普及活動にも力を入れていますね
「子供たちに教えることは勉強になるし純粋に楽しい。競技人口を増やすことが、ソフトの発展や五輪復活に繋がる。これからも自分が出来ることを地道にやっていきたい」
Qソフトの魅力は
「投げたり打ったり守ったり、色んなことが出来る。足が速くても遅くても体が大きくても小さくても、各々が特徴を活かし活躍できるポジションや場面があるところも魅力」
【一試合一試合しっかりと】
Qチーム存続が危ぶまれ引退も考えたとか
「チームが無くなるなら引退のタイミングかもしれないと頭をよぎったこともあったが、もう一度プレーできる環境を与えてもらった。神様から『まだ、辞めるな』と言われたような気持ち。現役を期待されているのは感じているし、仮に辞めたいと思っても自分の都合で決断できないことも自覚している。新チームになり、今は1日でも長くプレーヤーとして活躍できるよう頑張りたい」
Q今季の目標は?
「今年は昨年以上に自分の力が必要とされる年だと感じている。選手としては一試合一試合しっかり投げられるようコンディションを整えたい。コーチとしては後輩が結果を残せるよう全力でサポートする。チームの目標は日本リーグと全日本選手権の2冠。昨年よりチーム力を落とさないよう、自分がしっかり踏ん張っていかなきゃなと思っている」
Q応援している方へメッセージを
「今年から『ビックカメラ高崎』として再出発しましたが、今まで通り、また今まで以上にファンの方に愛されるチームを作っていきますので応援よろしくお願いします。そして、日本リーグ戦は県内での試合も多いので球場に是非、足を運んで下さい。グラウンドで待ってます」
文/中島美江子
写真/高山昌典