ゲルニカ(タピスリ)の新情報や歴史と意義知って
現在、県立館林美術館では、「ピカソ展―ゲルニカ[タピスリ]をめぐって」を開催中です。
パブロ・ピカソ(1881~1973年)のよく知られる《ゲルニカ》(1937年)は、スペイン、マドリードの王妃ソフィア芸術センターに所蔵されており、旅行の機会に見たことのある人も多いのではないでしょうか。
この《ゲルニカ》にもとづき、原画と近いサイズで織られたタピスリ(つづれ織り)が、高崎の県立近代美術館のコレクションにあることはあまり知られていないかもしれません。今回、《ゲルニカ(タピスリ)》を、県立2館目の館林美術館で展示する機会に合わせ、《ゲルニカ》に関連した作品や資料を紹介する展覧会として企画したのが本展です。
《ゲルニカ》の絵は、スペイン内戦の最中に起きた、バスク地方の古都ゲルニカへの爆撃をきっかけに描かれました。横幅7メートルの大画面に、馬や牛、炎の出る建物、子供を抱く母親、逃げる人、ランプをかざす人などが、平面的に重なりあうように描かれたこの絵からは、哀しみや苦痛、混乱、死の恐怖が白日の下にさらけ出される、といった状況が想像されるでしょう。しかし明確な物語はありません。
本展では、この絵について考えるために、キュビスムの版画や絵画、スペイン内戦のプロパガンダ・ポスター、闘牛を描いた版画や動物をモチーフとした陶器など、様々な作品と資料を展示しています。
《ゲルニカ(タピスリ)》に関しては、近年の研究をもとに、これまで知られなかった新しい情報も加えて紹介しています。《ゲルニカ(タピスリ)》は、3枚作られていますが、その経緯や、原画となぜ色が違うのか、あるいはピカソとタピスリの織師の関係など、《ゲルニカ》の代わりとして見るだけでなく、ピカソのタピスリの作品としての歴史と意義もぜひ知って頂ければと思います。
本展では、国内に所蔵されるピカソの油彩画7点のほか、版画、陶器、関連写真、資料、約110点を出品しています。ぜひこの機会にご覽ください。