新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから一年が経った。収束に向かうどころか、いまだその兆しも見えない。当初、感染予防策として盛んに叫ばれた「新しい生活様式」は、もはや「日常」へと変わり、マスク着用は必須になった。
我が家の些細な話で恐縮だが、外出先から帰った時のマスクの置き場所が定まらず、それがずっと気になっていた。一日に何度か外出を繰り返すたびに、家のあちこちに使用中の布マスクが置かれる。衛生的にもよくないし、脱ぎ捨てられた家族の靴下同様、イライラを誘う。一時的だと思っていたこの小さな予防アイテムとのお付き合いも、まだしばらく続きそうなので、ようやく定位置を決めることにした。
あれこれ悩んだ挙句、玄関入ってすぐの洗面所の鏡に家族分のフックを取り付け、そこに引っ掛けておく方式にした。帰宅しマスクを外したらフックにかけ、除菌スプレーをひと吹き。一日の終わりに専用のネットに入れて洗濯機へ。小さなストレスが解消された。
人生は予測不能。まさかマスクの定位置に頭を悩ませる日が来るとは思わなかった。これからも思うようにはいかないだろう日々に、それでも前向きに対応していきたい。
(塩原亜希子)