マンガ&アニメのチカラ

地域振興や条例普及啓発に一役

マンガやアニメの力で地域振興や広報・啓発を図る取り組みが全国的にも増えている。今号では、アニメのキャラクターをアンバサダー(大使)として起用した館林市や、アニメとコラボし大正ロマンの街づくりを盛り上げる沼田市の例に加え、ご当地マンガの登場人物を活用した県の条例改正啓発チラシについて紹介する。

館林アニメアンバサダー就任式で「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」認定証を披露する須藤和臣館林市長(右)とアニメツーリズム鈴木則道専務理事

市舞台のアニメ「よりもい」キャラをアンバサダーに

館林

館林市は先月、同市が舞台として登場するテレビアニメ「宇宙(そら)よりも遠い場所」(MADHOUSE制作、いしづかあつこ監督、花田十輝脚本)の主要キャラクター4人を、「館林アニメアンバサダー」に委嘱した。略称「よりもい」の名で親しまれる同作は、館林の女子高校生らが南極を目指し奮闘するストーリーで、2018年1~3月にTOKYO MXやBSなどで放送された。東武鉄道の館林駅周辺や茂林寺など市内の風景が、オープニングをはじめ前半第5話までの国内編を中心に登場する。

聖地認定プレートとスタンプ

同市は、全世界のアニメファンが選ぶ「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」(アニメツーリズム協会主催)に、19、20年と連続で選定された。さらに、アメリカのニューヨークタイムズ「2018ベストテレビ番組」の海外部門10作品の一つにも選ばれる(18年12月)など、国内外で高い評価を受けている。そこで、同市を広くPRしようと、主人公・キマリこと玉木マリら4人のキャラクターをアンバサダーとして起用した。

現在、つつじが岡ふれあいセンターでは等身大パネルやアニメ聖地の認定プレートの展示、スタンプの設置などを行っている。今後は、のぼり旗や公式グッズを作成するほか、コロナ収束後には4人の就任お披露目イベントなども行う予定だ。

同市つつじのまち観光課の中村智仁主任は、「笑いあり涙あり、友情や葛藤など、青春時代の繊細な心情が美しい風景とともに丁寧に描写され、世代を問わず楽しめる作品。まずは、まだ知らない市民や県民のみなさんにも魅力をPRし、アニメをきっかけに街を訪れる交流人口や、観光誘客の増加にもつなげていきたいですね」と話す。同課(0276・74・5233)。

アニメは全13話。現在、群馬テレビで放送中(月曜午後7時半~同8時)。次回3月1日は第5話。また、オンライン動画配信サービス(有料)でも視聴可能。

はいからさん」とコラボ 大正ロマン楽しんで

沼田

旧土岐家前には「劇場版はいからさんが通る」の主人公・紅緒の等身大パネルを設置 旧沼田貯蓄銀行に設置された音声ガイド装置。伊集院忍を担当する声優が解説

沼田市は、「大正時代の東京を舞台に繰り広げられる劇場版アニメ「はいからさんが通る」とコラボし、市内6カ所の歴史的建造物などに主要キャラの等身大パネルを設置している。3月31日まで。

同市では、市役所の入る複合施設「テラス沼田」周辺を区画整理中で、「大正ロマン」をテーマとする街づくりが着々と進められている。歌人生方たつゑ(1904~2000年)の記念文庫近くに旧沼田貯蓄銀行や旧土岐家住宅洋館、旧日本基督教団沼田教会紀念会堂を移築。2年後には沼田市の名誉市民である久米民之助(1861~1931)が暮らした東京都代々木の邸宅も移築予定だ。

コラボ企画では、旧土岐家には「花村紅緒」、旧沼田貯蓄銀行には「伊集院忍」などと、各施設に登場人物6人を割り当て、等身大パネルを設置。さらに、映画で声を担当した声優が各施設の紹介をするガイダンス装置を用意した。昨秋と今月20、21日には袴姿で街並みを歩いたり、ボンネットバスに乗ったりして市内観光を楽しむイベントを開催した。

同市の担当者は「沼田の歴史や文化の魅力を観光の視点で発信する企画。アニメの世界観を体感するとともに、テラス沼田内の歴史資料館や沼田公園などを回遊してもらうきっかけになれば嬉しい」と期待する。同市観光協会(0278・25・8555)。

おまグン」のインパクトで若者に啓発

群馬県

県が発行した交通安全条例の改正を知らせるチラシ

県の交通安全条例が今年4月1日に改正されることを広く知ってもらいたいと県は、人気ご当地ギャグマンガ「お前はまだグンマを知らない」(井田ヒロト作)のキャラクターを使用したチラシを作成した。2万枚発行し、県内の市町村、公立学校や交通安全協会などで配布している。

今回の改正では、自転車利用者の自転車保険への加入が「義務」化。また、自転車乗車時のヘルメット着用が年齢を問わず「努力義務」へと変わる。群馬は自転車事故の発生件数が多く、特に中高生による事故の割合が近年、全国ワーストである実態もふまえた。2014年の同条例施行時は、ほのぼのとした雰囲気のチラシだったが、今回はインパクトを重視。チラシ表面では、黒っぽい背景に「おまグン」の登場人物が不気味な笑みを浮かべながら注意を呼びかける。裏面には、改正点の詳細を掲載した。

県の道路管理課の根岸義男室長は、「同作品は中高生など若者になじみがある。是非、チラシを手に取り、条例の内容を改めて知ってもらい、自分自身を守る意識を高めてほしい」と話す。

なお、同課ではチラシだけでなく若者に対する自転車の交通安全啓発を強化しようと、高校生対象の動画コンテストも行った(3月1日から県公式ユーチューブチャンネルで公開予定)。同課(027・226・2388)。

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