リボベジ [子どもだった頃、母はニンジンやネギの切れ端を捨てずに…]

上州日和タイトル

子どもだった頃、母はニンジンやネギの切れ端を捨てずに、水を張ったお皿に入れて、芽が出ると料理の材料にしていた。「うちは貧乏で野菜も買えないのか」と家計を心配したことを思い出す。でも母はにっこりと「お料理に青みを添えるとおいしくに見えるのよ」と忙しくも楽しそうに食事の支度をしていた。だからキッチンの窓際は、ミニミニ畑というか小さなジャングルがいつもできていて緑で豊かだった。
 
最近はこういうのを「リボベジ」と呼んでいるらしい。「リボーンベジタブル」の略で、野菜が再生するということ。昭和の時代にはない言葉かもしれないが、「モノを捨てないで活かす」「もったいない」を実践していたんだなと母のライフスタイルを尊敬。
 
「私もリボベジやりたい」と早速、ニンジンで挑戦。土に植えるのと違って簡単だ。数日で芽が出て、葉っぱがふさふさしてきた。ギザギザの葉先をつまんで洗い、サラダやカレーの上に乗せると、ちょっと高級レストランに行った気分。自分が育てた「いとおしさ」も加わり、育てる、見る、食べる、3拍子揃った「リボベジ」で、気分は爽やか。外出もままならない都会暮らしの娘たちにも知らせてみよう。今度はパクチー、小松菜にもチャレンジしよう。

(谷 桂)

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