乗っ取り[6月9日号]

ある日の夕方、もう少しで仕事が終ろうという時に、女友達からSNSでメールが届いた。「今、忙しい?」何かのお誘いかと思い「少し待って」と返信。すると「電話番号教えて」とまたメール。変だなと思い電話を掛けたが応答はない。
「電話には出られない」と再びメールがあったので、うかつにも番号を教えてしまった。するとショートメールにコードが届き、その後「4ケタの検証コードを送信してくれ」と妙な書き込みが来た。
笑顔のアイコンをしばらく凝視していたが、やっと友人本人ではなく友人の「なりすまし」だと気付く。IDやパスワードが盗まれ、SNSを乗っ取られたらしい。驚きと怒りが背中から頭のてっぺんに上った。もちろんコードは送信しなかったが、怪しい画面をしばし睨んだ。
グループ内の友人にも波及していたので、「引っかかっちゃだめ」とお互い連絡を取り合った。乗っ取られて次々と被害が拡大したり電子マネーを購入させられるなどの「オレオレサイバー詐欺」は未然に阻止。友人ともギクシャクしなかったのは幸いだった。
2016年のインターネットバンキング不正送金被害額は減少したとはいえ16億円以上(警察庁発表)。年々手口も巧妙になり、国際犯罪グループも暗躍しているという。皆様もセキュリティーなど身のまわりの危険にお気を付け下さい。

(谷 桂)

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