県内で続々 個性的でおしゃれな外観が人気
貨物の輸送に欠かせない鉄製のコンテナ。最近ではおしゃれで個性的な外観の「コンテナ建築」として人気が高まり、県内でも、ホテルや飲食店など様々な店舗建築に取り入れられ多様化している。さらには、自治体が災害時のコンテナ利用を検討する動きも出てきた。耐久性があり、短期間に設置できる特性を生かしたコンテナ店舗を取材した。 （谷 桂、上原道子）
太田・伊勢崎・館林
避難施設へ転用可能なホテル
ビジネスにも観光にも ザ・ヤード
全国でコンテナを使用したホテル事業を展開するデベロップ（本社千葉県市川市）は、２０１９年８月に館林市内にホテルアールナイン 「ザ・ヤード館林新栄」を開業。20年２月には太田市内に、７月には伊勢崎市内に相次いでオープンしており、コンテナホテルが広がりつつある。
敷地内には、黒と赤をイメージカラーにした客室を擁したスタイリッシュな外観のコンテナ約40棟が整然と並び、ビジネスや観光に利用されている。
コンテナ１棟が１客室。13平方㍍の室内にはユニットバス、トイレなどの水回りに加え、エアコンや空気清浄機、テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどの電化製品を完備、マッサージチェアが備わる客室もある。コンテナ同士は間隔が空いているため、隣室の音が気にならないと好評だ。敷地内には、スタッフが24時間常駐する。フロントやコインランドリー、自動販売機なども設置。駐車場も隣接している。
コンテナホテルは車輪がついていて、台風などの災害時には被災地に運び、避難施設としても活用できる。デベロップと太田、桐生、館林、伊勢崎、大泉、明和、千代田の県内７市町は、有事に「レスキューホテル」として稼働できる「災害時協力」の協定を結んでいる。
広報の小原衣代さんは「快適で安心なコンテナホテルをビジネスや観光など様々な用途でご利用いただければ幸いです。レスキューホテルとして有事には皆様のお役に立てるよう、地域に根付いたホテルの運営を目指しております」と話す。
■館林新栄店（0276-55-1243）、太田店（0276-55-8686）、伊勢崎店（0270-75-6543）、1人5600円～。
公式HP＝https://hotel-theyard.jp/
伊勢崎
短期で店舗設置
ドライブスルーたこ焼き店 築地銀だこ
たこ焼き専門店「築地銀だこ」を展開するホットランド（東京都中央区、佐瀬守男社長）は今月１日、伊勢崎市連取町の伊勢崎本庄線沿いに、コンテナを使用した店舗「伊勢崎ドライブスルー店」を初めて出店した。看板商品の「たこ焼（8個入り）」（テイクアウト５８０円）以外にも、県内の他の店舗では扱わない「銀のたこめし弁当」（テイクアウト８００円）などを提供する。スタイリッシュな黒の店舗は、６台のコンテナを組み合わせ、厨房やイートインスペースも設置されている。車に乗ったまま注文して、テイクアウト商品を受け取れるドライブスルーがコロナ禍のスタイルに合っていると人気だ。
店舗の設置は、本部で内装や調理設備を整えて、現地に運んだ。「コンテナを使用することで、 設置や移動も安易なことから、短期間での出店が可能となり、今後の様々な出店の可能性が広がると考えております。定番の『たこ焼』だけではなく、通常の築地銀だこ店舗では味わうことのできない『お弁当』や『からあげ』など、種類豊富にご用意しておりますので、気軽にお立ち寄りください」と担当者は呼び掛ける。営業時間は午前11～午後９時まで。同店（０８０・３４９５・９４６４）。
安中
存在感＆インパクト、大
磯部温泉の観光拠点カフェ ヒトリトイロ
安中市磯部の貸し駐車場の一角に今月９日に新規オープンした「ヒトリトイロ カフェ」は、40フィート（長さ12メートル）の巨大コンテナを２台重ねている。
黒色の１階を店舗、白色の２階を事務所とした。安価で手に入れ横浜からトレーラー２台で運んだ中古のコンテナを、約３カ月かけ改修工事。ドアやガラス窓も付き、店内はコンテナであることを感じさせないほどおしゃれで明るく仕上がった。
運営するのは、同市在住の依田沙希さん（41）。「コンテナは面白味があり変わった見た目で、インパクト大。工事中から『何ができるんだい？』などと地元の人たちが興味を持ってくれた。磯部の温泉街をめぐる観光拠点として、地域活性に貢献していきたい」と意気込む。
店内ではクラフトコーラやクラフトジンジャエール、秋間梅林の梅ジュース、コーヒー、アイスクリームなどを販売（テイクアウト可）。また、磯部せんべいの食べ歩きなどの体験プログラムや、レンタサイクルの申し込みも随時受け付けている。席は、ワーケーションとしての利用も可能。同店（０２７・３８１・６３３２)。
前橋
見た目をスタイリッシュに
遊園地の一角で こだわりの食を提供 おむすびのマム
前橋市民らに長く愛され続ける児童遊園「るなぱあく」の中央にある「おむすびのマム」もコンテナを利用。２０１６年12月にオープンし、手作りの具材を使ったこだわりのおむすびを提供している。
当時、東京でコンテナハウスの活用事例が増え始めていた。スタイリッシュな見た目に着目し、前橋でもやってみようと取り入れた。コンテナは２棟使用しており一方は、調理場。もう一方は、当初休憩室としていたが、今月から県産加工食品や、県内の作家によるオリジナル手作り雑貨などを販売するお土産コーナーとして生まれ変わった。
運営するオリエンタル群馬の三友千春さん（45）は「忙しいママたちがほっとできる場や、アレルギーにも配慮した安心できる食を提供していきたい」と話す。同社（０２７・２２５・２０００）。
高崎
オレンジの鮮やかな
トリミングサロン ミューズ・ワン
高崎市箕郷町上芝にある犬専門のトリミングサロン「ミューズ・ワン」。オレンジ色の20フィートコンテナ２台を連結した店舗。外観や入口は、鉄扉の扉を生かし、内装は来店者にもワンちゃんにも優しい木造に。ウッドデッキから店にも入りやすく、植栽の緑が全体をナチュラルな雰囲気にしている。「お客様とワンちゃんに優しいショップを目指しています」と店主は話す。同店（０２７・３８１・６０７０）。