豊かな森林資源を持つ群馬県。県内の林業及び木材産業を巡る情勢は、木材価格の低下、住宅着工の減少など厳しさを増しています。
特に今年度は、消費増税や貿易摩擦に加え、新型コロナウイルス感染拡大により社会経済が深刻な打撃を受けている中、新たに就任した平方 宏群馬県木材組合連合会会長に、木材利用促進について、また各種補助金についてお話を伺いました。
木材需要の減少と促進
Q 木材利用の動きはいかがですか?
木材需要は減少しています。原木の価格も、1980 年に38,200 円/㎥だった杉柱丸太が、現在では10,000 円/ ㎥前後になり、価格は1/3以下に下落し、厳しい状況が続いています。
住宅についても、人口減少により、1990 年度に約3万戸あった新規着工数が2019 年度は、11,608 戸に減少しましたが、そのうち約8割が木造建築です。住宅には、設計士や大工だけでなく、基礎、電気、設備など様々な地域の力が携わっていることから、地域経済の活性化にも貢献しています。今後も木材の利用拡大を促進します。
最近では、例えば公民館や保育園、病院、福祉施設など非住宅分野で、木材需要の拡大が見込めると、国でも力を入れ始めました。県では、「林業県ぐんま県産木材利用促進条例」ができて、非住宅への木材利用促進も始まる予定です。
各種補助金の活用
Q「ぐんまの木で家づくり支援事業」について
2007 年からスタートし、県産木材利用の中心事業として大きな成果を上げてきました。残念ですが本事業は今年度で終了になります。前年度までは、3億円規模の補助金でしたが、6割減と大きく縮減されました。今後は新しく県産木材を利用拡大できる仕組みについて県などと協議していきます。今年度につきましては、構造材補助に最大60 万円助成(先着310 戸)、
内装材補助に最大15 万円助成(先着50 戸)していますので、ぜひご活用ください。
Q「過剰木材在庫利用緊急対策事業補助金」について
新型コロナウイルス感染拡大により、輸出の停滞によって過剰になった木材を有効活用するため、公共施設等を建築する際に木材利用を支援します。
Q「JAS 構造材利用拡大事業補助金」について
JAS 構造材を使用して事務所や店舗、集合住宅などの建築物を建てると、国が材料調達費を建築業者等に最大3000 万円助成するものです。
再生可能な自然の恵み
Q 木材や林業の現状と今後の可能性についてはいかがでしょうか?
木材という素材は、再生可能な自然の恵みといえる貴重な資源です。木のある暮らしには、くつろぎや癒しがあり、明日を生きる活力を生みます。
最近では、木を育てる林業従事者の高齢化や後継者不足が課題ですが、森を守ることは、自然災害から国土や水資源、人々の生活を守ることに繋がります。山から木を伐って、使って、さらに植えて、育てるという循環ができるといいです。
2015 年9 月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)では、13 の「気候変動に具体的な対策を」、15 の「陸の豊かさも守ろう」などいくつかの項目が生態系や森林の保護などを目標とし、木材にも当てはまります。自然と共生しながら持続可能な未来を切り開いていきたいですね。
今後、いかに県産木材の利用を促進していくか、会としても本腰を入れて取り組んでまいりますので、県民の皆様にもご支援をお願いいたします。
http://www.gunma-wood.com/
(一社)群馬県木材組合連合会
平方 宏 会長
今期から群馬県木材組合連合会会長に就任。
1900 年に創業した平方木材株式会社(前橋市天川大島町)代表取締役社長として、木材産業の発展や木の良さを生かした利用拡大に尽力している。