非営利団体「ギャラリー アートスープ」
テーマ展、イベント、2号店出店…多彩な企画次々
多くの人に気軽にアートを楽しんでもらおうと、非営利団体「ギャラリー アートスープ」(前橋)は、ギャラリー運営やイベントなどを通してアートの魅力を発信している。法人でなく任意団体としてギャラリーを運営するのは全国的にも珍しい。年30回以上展示会を開くほか、昨年は漫画複合イベントを初開催するなど活動は年々、広がりを見せている。 (上原道子)
若手作家の発表の場を作りたい
絵画から雑貨まで様々なジャンルの作品を展示販売する貸しギャラリーは、前橋駅前のけやき並木からほど近い住宅街の一角にたたずむ。2013年、中林智洋代表代行(35)が画家志望の友人と共に「群馬に若手が発表できる場を作ろう」と高崎市内に立ち上げた。
普段、病院に勤務する中林さんは、平日夜や休日を使って企画立案を行うなど中心となって運営に携わってきた。その後、多くの若手作家との交流が生まれ、彼らと交代で店番をしたり出資をするなどしてギャラリーを継続。15年から前橋の街なかに拠点を移し、商店街の人々との交わりやイベント参加を通し地域活性にも貢献してきた。現在、ひなまつりにちなみ女の子をテーマにした企画展を開催中。同展は、アーツ前橋などで行われている「前橋の美術」の協力展示の一つだ。
中林さんは一昨年、自宅兼ギャラリーとして現在の場所に3階建ての建物を購入。家賃がかからない分、参加作家の出展料を抑えることができると考えたからだ。
企画展のたびにSNSを駆使して広く出展を呼びかけているが、最近は県外の参加作家も増えている。18年には、前橋で一時途絶えた同人誌のイベント復活を切望する声を受け、「まえコミ」を開催。昨年は、初開催された、手作りの漫画やアートを展示販売する「ぐんコミ」にも協力団体として参加。明日29日は、その「第2回」が開かれる予定だ。
4月、SCに2号店
現在、中林さんはショッピングセンター前橋リリカ3階の一角にオープンする、アートスープ2号店の準備に追われている。知人を通じて知り合った同リリカ支配人からのオファーという。
作家にスペースを貸し出し、同会場で作品と通販サイトのQRコードを展示、来場者がほしいと思った作品は、サイトから購入手続きを行うと後日実物が送られる仕組みだ。経費を抑えるため「店舗スタッフ不在」という新たな試みを行う。「アートに対する敷居を下げ、気軽に楽しめるようにしたい。作家も手軽に出展できるよう限界まで頑張ります」と中林さん。利益を追求せず、作家と、純粋にアートを愛する地域の人々とを繋ぐ接着剤としてアートスープの挑戦は続く。同ギャラリー(027・896・9320)