芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。
先日、海外アニメの吹き替えの仕事で、中学2年生の女の子と一緒になりました。年齢聞いたら13才、2004年生まれですよ!20世紀少年じゃなく21世紀少女と仕事を一緒にする時代ですよ!
その子の名前が「心愛」と書いて「ここあ」ちゃん。20世紀なら「変わった名前だなあ」と言われてたでしょうが、21世紀だとそんなに違和感ないでしょ。「光宙」と書いて「ぴかちゅう」。「夢民」と書いて「むーみん」。そんな強者たちに比べれば、その名の通りすんなりと飲み込みやすいココアちゃん。キラキラネームもずいぶん定着してきたように感じます。
変わった名前と言えば、私が所属している浅草漫才協会の師匠たちも変わった名前だらけ。会長である青空球児・好児師匠。コンビ歴53年のおぼん・こぼん師匠。大きい方が、おぼん。小さい方が、こぼん。もう聞き慣れてしまったので違和感はないけど、改めて考えてみると「おぼん」は分かるけど「こぼん」って何だ?
楽屋で師匠たちと話をしていると、話の中に昔の芸人さんの名前がちょいちょい出て来ます。この初めて聞く芸人さんの名前がインパクトありすぎて、話の内容が全然頭に入って来ない。
「『朝刊・夕刊』の朝刊さんがさあ、その夜に…」朝刊・夕刊が夜に?もう朝なのか夜なのか夕方なのか時間帯がよく分からない。
「そしたら『サンデー・マンデー』のマンデーさんが、金曜日に…」え?サンデー?マンデー?フライデー?え?いったい何曜日なの?
「すっかり落ち込んじゃってさあ、『はずむ・りずむ』のはずむさんが沈んじゃって…」 はずんでない!はずむさんが沈んでる!
先日もハーモニカ漫談をやっている、とある師匠と楽屋で話をしていた時の事。この師匠、年齢なんと86歳。元々はコンビで漫才をやっていたのですが、今はひとりでハーモニカ漫談。しかも始めたのが10年前。76歳からのチャレンジ! その師匠が言いました。「ずっとクラッシックの曲をやってたんだけどさ、今年からジャズの練習も始めたんだよ」今年から?新しくジャズ?
こんな前向きな86歳見た事あります?キラキラ輝く少年のような瞳で楽しそうに夢を語る師匠。その名も「青空たのし」。名は体を表す、元祖キラキラネームです。