チラシを目にした方々は、すぐさま好みのイケメンの品定めに取りかかるらしい。
先月21日、高崎市は連続リサイタル「アフタヌーンサロンシリーズ」(全3回)をスタートさせた。飲み物付きで休憩含め90分間と短めの時間設定。何より平日午後の開演というスタイルは北関東では初の試みである。
出演者にはクラリネット奏者吉田誠さん(既に終了)、ピアニスト外山啓介さん(2回目10月6日)、チェリスト宮田大さん(3回目12月1日)といった時代を照らす若手奏者が並ぶ。豊かな音楽性に加え、「会ってみたい」という企画担当の女性スタッフらの願望も加味して選定したものだ。
当初は街中での買い物やランチのついでに気軽に楽しんでもらいたいと企画したが、結果として別の可能性に気付く機会となった。
初回のコンサートで、来場者アンケートを実施。その中で目立ったのが、「高齢で夜の外出が難しく昼間の開催はありがたい」といったコメントである。
大半の演奏会の開演時間は午後7時前後。私の高校時代の恩師は、最近運転免許証を返納したため夜間の交通手段を失い、夫婦で入会していた群馬交響楽団の定期会員をやめた。同様に長年慣れ親しんできたステージ鑑賞を諦めざるを得ない方も多いはずだ。これは惜しい。
「音楽を前向きに受け容れてくれるお客様」とは、先月の出演者・吉田さんから伺ったこの街の第一印象。音楽と寄り添うように暮らす方々のニーズを汲むこと、それをいかにホールという空間でカタチにするか、日夜徹夜思いを巡らせている。