3月末には群馬県内でも聖火リレーが迫るというのに、森喜朗氏(83)が東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長を辞めることになった「金メダル級」の大騒動。「女性が多い会議は時間がかかる」などの女性蔑視発言は論外です。なのに謝罪会見も居直って手柄や功績のアピールに「恨み節」ばかり。
永田町でも森氏をかばう長老が大暴走。ボランティア辞退の動きを「瞬間的」と断じ、「おやめになりたいということならば新たなボランティアを募集する」と突き放したのは、自民党の二階俊博幹事長(82)です。世論の反発を受けた橋本聖子五輪相が「不適切だ」との認識を示しても、本人は自分の発言に「特別深い意味はない」。どこ吹く風です。
気になるのは、2トップの問題発言に当初から正面切って異を唱える同党国会議員が見当たらなかったこと。「おかしい」と思わないのかな。最大派閥出身の元首相や、権勢をふるう現幹事長には怖くて何も言えないの? 与党議員だって、国民の多様な意見を代表して「言論の府」に臨む政治家のはずですよ。
発端となった日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会では、森氏の蔑視発言に出席者から笑いが上がったといいます。忖度、沈黙、同調圧力、男尊女卑、薄ら笑い、密室談義、弱腰……。一連の騒動は「裸の王様」を取り巻く日本的な「ムラ社会」の不文律、自浄作用のなさを世界にさらけ出しました。
え? どの会社や組織も似たようなもの? ならば変わらなきゃ!
(朝日新聞社前橋総局長 本田 直人)