多様性のある企業を中山間地域に!(Vol.157)

西上州の山中にある上野村では、Iターンという言葉が生まれる前から積極的に移住者を受け入れてきました。それと並行して産業づくりを行い、雇用の場所も生み出してきた同村の施策に惹かれ、私も13年前に移住してきました。

様々様々な経験を活かして働くスタッフたち=上野村ヴィラせせらぎ

現在、小さな村の観光産業を支える上野振興公社で働いています。弊社の主な業務は宿泊・観光施設の運営などで、特に力を入れているのが組織作り。近年、「良い人材」を獲得し「良い組織」にしたいという思いで採用活動をしてきましたが、人材獲得競争の中でその願いは簡単には叶いません。

能力やスキルの高さを採用基準にしてきましたが、ある時、小さな村の企業として一般的な基準で採用することが本当に良いことなのかという疑問が浮かびました。考えた末に辿り着いたのが「我々基準で多様性(ダイバーシティ)のある人材を採用し、彼らの力を最大限引き出して、独自の強い絆を持つ企業にすれば良い」という気付きです。
最近、心に傷を負ってしまい社会から一度引いてしまった人、企業勤めで息苦しくなってしまった人などの応募が増えています。実際、弊社で働く従業員の中にもこのような経験を持っている人が少なくありません。しかし、彼らは懸命に仕事と向き合い、自分の力を存分に発揮しています。
それは、力を発揮して働くことができる理由があるからだと思います。その理由は、働いている人たち皆に共通している「優しさ」です。厳しさと大らかさのある「優しさ」こそ今、多くの企業や地域に求められている能力ではないでしょうか。
今後、多様性と優しさに満ちた企業経営にまい進し、住む人にも訪れる人にも地域にも貢献できる事業を精力的に展開していきたいと思います。

(株)上野振興公社 常務取締役
瀧澤 延匡

【略歴】1980年生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て2006年、(株)上野振興公社入社。企画営業に従事し2013年、同社常務取締役に就任。教育旅行の誘致、上野村婚事業、村外とのネットワーク構築などに取り組む

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