ゲームをし始めたら止まらなくなる性分です。今時の高度なものでもなくとも熱中し、せっかくの休暇を潰して三日三晩、クリアを目指してプレーし続けたこともあります。今やゲームそのものに手を出さないのは、自分なりの防衛策です。
加減できないなら、完全にやめるしかない。そう学んだのは、過去に依存症の取材をした時です。アルコール依存と闘う方に密着しました。毎日、この一日を禁酒することを連続する。支えはアルコホーリクス・アノニマス(AA)という匿名で語る自助グループ。他の依存症でも用いられます。
前橋市で今月あった集会で、ギャンブル依存からの回復を目指す自助グループ(GA)に通う会社員男性(35)の話を聞きました。パチンコに始まり、14年半で借金は計2500万円に上ったそうです。
最初に親に気付かれた時、借金は500万円。返済してもらい、反省したのにまた手を出しローンを重ねる。「謝る気持ちに嘘はなかった。でも、次は勝てると考えて…」。自殺まで思い詰めた後、GAにつながった。そしてギャンブルをやめ続けています。「僕の体験が役に立つのなら」と、後に続く人の参加を呼びかけます。
厚労省によると、ギャンブル依存経験者は推計320万人、ゲームを含むネット依存は成人421万人、中高校生52万人といいます。パチンコ店があふれ、カジノを解禁する法が成立し、格闘ゲームなどが五輪種目に取りざたされる今、まずは依存症対策をと願うのは、私だけではないはずです。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)