是か、非か[7月19日号]

「表から見るのもいいけど、裏もいいんだよ」。妙義山のことを書いた前回コラムを読んでくださった方が教えてくれました。ありがとうございます。

物事は見方や考え方で、表現が変わることがあります。表と裏。明と暗。長所と欠点……。ぼんやり思い浮かべていると、ふと、「いい天気」って何だろう。

一般的には良く晴れた日でしょうか。関東甲信越地方が梅雨入りした6月以降、雨天や曇天が続きました。「洗濯物が乾かなくて困るね」。なんて会話をした方も少なくないのでは。

前任地の名古屋で昨夏、最高気温が35度以上の猛暑日に連日襲われてクラッとした私。カンカン照りはイヤ。開会中の高校野球が中止になる雨もイヤ。すごしやすい日々が続けばいいのに。と、勝手です。

気象庁によると、今年は冷夏になるかもしれない。7月に入り、関東を中心に日照時間が短くなっているそうです。私にとっては涼しくて「いい天気」。でもテレビで見たニュースで一転しました。

日照時間が少ないと育たない野菜もあり、価格の高騰が心配されます。これは農家も消費者も困ります。またまた一方で、近所のコインランドリーの混み具合を見て、「もうかっているのかな」とも。

日常は、是と非だけでは断じきれないことも多いようです。どう考えればいいのか。その答えは持ち合わせていません。ただ、異なる考えや立場の人を拒むよりも、思いをはせる方が良い暮らしになる気がします。とりあえず私は曇天を仰ぎ、身勝手さを恥じておきます。

21日は参院選と知事選の投開票日です。

(朝日新聞社前橋総局長 熊谷 潤)

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