未来を変えるのは私たち 沼田女子高

100周年を祝いプロジェクションマッピング
実現に向け、クラウドファンディング実施中

今年度、創立100周年を迎えた伝統校・県立沼田女子高校(以下、沼女=沼田市東倉内町・廣井達人校長、359人)。文化祭に合わせ、色彩豊かな映像を校舎に投影する「プロジェクションマッピング」を実施予定。同時に、生徒が撮影したショートムービーの上映、ランウェイを歩くファッションショーも行う。そのために、生徒らはクラウドファンディング(以下、CF)を活用し資金を調達するプロジェクトを立ち上げた。実現へ向け準備に奮闘する生徒たちの様子を紹介する。  (谷 桂)

歴史振り返る映像を校舎に投影

文化祭実行委員会のメンバー

沼女は1921年に創立。沼田高校と並び北毛地域の進学校として名高い。「記念すべき100周年の文化祭を盛り上げたい」と、今年1月に文化祭実行委員会が結成された。

生徒会本部役員を中心とする40人の自主メンバーは「節目の年、100周年」をキーワードにミーティングを重ねた。コロナ禍で部活動も制限されたり修学旅行が中止になる中、校舎を使った屋外の企画なら実現が可能であることに注目。「伝統ある校舎を生かしてプロジェクションマッピングができないか」という案が、今年2月に急浮上。

写真左から、中心になって活動する文化祭実行委員で広報リーダーを務める3年の中嶋日香さん、生徒会長の3年武井美里花さん、顧問の吉澤千恵教諭

実行委員で生徒会長の3年武井美里花さん(17)は、「沼女でできるのか考えるよりも、とにかくやってみたいという皆の熱意で動き出した」と決定の経緯を話す。

しかし、顧問の吉澤千恵教諭がプロジェクションマッピングの製作を業者に依頼するにも、予算額の少なさから選定に一苦労。費用を試算すると、生徒からの徴収と学校の予算50万円では資金が大幅に足りないことが判明した。

最終的に前橋市の電気設備業ソウワ・ディライトが地域貢献として依頼を引き受けると、「実現できるかもしれない」と一気に現実味を帯びてきたという。

4月、新年度に入ると実行委メンバーは約70人に増加。広報のリーダーを務める3年の中嶋日香さん(17)は、「絶対に成功させたいと士気が上がり、全員が熱い気持ちでまとまるようになってきた」と話す。プロジェクションマッピングのコンセプトを「沼田と共に歩んできた学校の100年の歴史を振り返ること」と「次の時代に向けて新たなスタートを切ること」と打ち出した。現在、映像や衣装確認の最終段階に入っている。

開始4日目で目標額到達

夢を実現するため、実行委で話し合いクラウドファンディングを4月23日にスタートした。地元企業や県外在住のOGなどからも応援メッセージとともに資金が寄せられ、わずか4日間で目標額50万円を達成した。

寄付金額に応じて支援者へ返礼される品「リターン」は、当日のライブ配信チケットや各部活の特色を生かした品物を用意した。たとえば、美術部は「似顔絵」、書道部は「和紙に書いた作品」、吹奏楽同好会は「演奏動画」、家庭クラブは、エコラップの「みつろうラップ」などを渡す予定だ。

5月11日現在の支援総額は約103万円、目標額の206%を達成している。吉澤教諭は、「実現可能になりほっとした。CFとは別に、寄付も募っているので、支援をお願いします」と呼び掛ける。

記憶に残る素敵な日に

ミーティングを重ねるメンバー

当日まで1か月を切り、実行委では、プロジェクションマッピングについて、もっと一般生徒にも理解を深めてほしいと、校内放送で周知も始めた。口コミやチラシ、SNSでも告知をして、さらに盛り上がるように雰囲気を作っていくという。

生徒会長の武井さんは、「この1年、生徒のみんなは、思うような学校生活を送れずに悲しみ、悔しい思いをしてきた。当日は、その気持ちが『楽しかった、幸せだった、この学校で良かった』と変わるような素敵な日になると良い」と語った。さらに武井さんは、「先生も生徒も沼女のことを大切に思っているので、この機会に母校が後輩や地域の多くの人の記憶に残り、語り継がれていってほしい」と笑顔で答えた。

未来を担う沼女の生徒たちは、100周年を彩る感謝の映像を校舎壁面にイメージしながら、次の100年への「ランウェイ」をすでに走り始めている。

■6月4、5日に予定していた文化祭「第37回沼女祭」は、現在、7月に延期調整中。プロジェクションマッピングは予定どおり、6月4日午後7時40分から、1時間程度実施する。

クラウドファンディングのサイト・ハレブタイ(https://greenfunding.jp/harebutai/)からの募集は30日までで、1口千円から受け付けている。別途寄付は28日まで。問い合わせは同校(0278-22-4495)。

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