桐生の夏の風物詩、桐生八木節まつりが3〜5日の3日間、市街地の本町通りや末広通りで行われた。記録的な猛暑の影響で、恒例の仮装行列などが中止になったにもかかわらず、来場者は62万人と昨年の55万人を大きく上回る賑わいを見せた。
今年は、55周年を記念し、航空自衛隊第11飛行隊「ブルーインパルス」が県内初の展示飛行をしたほか、市指定重要文化財の有鄰館を会場にしたお化け屋敷を一新するなど新たな試みが見られた。また、昨年から同市は浅草の商店街で八木節を披露するなど地道なPR活動が集客にもつながっているようだ。
近年メディアに取り上げられる参加型の八木節に注目が集まるが、もう一つの見どころ、巨大屋台が繰り出す祇園祭は、江戸時代初期から360年以上の歴史を持つ。伝統を兼ね備えた織都の夏まつりは、時が経っても人々を魅了し続けている。
毎年、自前の法被で八木節を踊り狂っていた桐生出身の妻と、初体験の1歳の娘を連れて訪れた。夜7時。やぐらに人が集まり出す。「ア〜アア〜アア」とあの粋な節が響き渡り、笛や太鼓が鳴り響く。娘を抱きながら踊りの輪に入る妻の後に続き、人生2度目の八木節挑戦。不慣れな私と腕の中できょとんとする娘をよそに、身体に染み付いた妻の軽快な動きは健在だった。延々続く踊りの輪の中は、誰もが笑顔。うだるような暑さはどこかに吹き飛んでいた。また来年を楽しみに。
(林哲也)