今月初め、親類が榛名の梅農家だという方から、規格外で出荷できない青梅をもらった。ほんのり赤みがあり、大粒で立派な実だが、私には梅を加工した経験が無い。梅干は漬けるのが難しそうだし、実は味が苦手だ。
そういえば実家には梅の木が2本あり、生活の中にはいつも梅があった。毎年、時期になると大人たちは梅もぎをし、梅酒と梅干を仕込む。何年かに一度作るペースト状の梅エキスは、おなかを壊したときの常備薬。真っ黒で死ぬほど酸っぱいが、米粒ほどの量をなめるだけで効果てきめんだった。
梅酒を漬けながら祖母が「なめな」といって氷砂糖を一粒くれるのが楽しみだった。出来上がった酒は「夏バテに効くから」と、薄めに薄めて氷を浮かべ、子どもの私にも飲ませてくれた。
そんな記憶が蘇り、いただいた梅は梅酒にすることに。梅と氷砂糖を交互に瓶に入れ、最後にホワイトリカーを注ぐ。冷暗所で3カ月たてば完成するという。砂糖は1週間かけゆっくり溶け、近頃は染み出したエキスで徐々に液体が色づいて来た。途中で味見がしたくなるが、ここはぐっと我慢。
梅酒がうまくいったら、来年は梅エキスに挑戦しようと早くも野望が芽生えている。
(上原道子)