レークサイドゆうすげ 3月末で閉館 榛名湖望める「大浴場」惜しむ声
40年の歴史に幕-榛名湖畔にある宿泊施設の「レークサイドゆうすげ」(高崎市榛名湖町)が、3月末で営業を終了する。
榛名湖や山々を望める大浴場が自慢の宿で、観光客や地元住民、温泉ファンに長く愛されてきた。「最後に、あの名湯と眺望をもう一度」と連日、多くのお客が詰めかけている。(中島美江子)
【無くなるのは寂しいね】
「榛名湖を眺めながら、ゆっくりお湯に浸かっていると本当に気持ち良いよ。子どもや孫を連れてしょっちゅう来ていたから、無くなっちゃうのは寂しいね」
毎月のように、レークサイドの大浴場に通っている柴山利夫さん(82=高崎)は今月中旬、仲間と共に2泊3日の宿泊を楽しみ、3月末の閉館を惜しんだ。
上毛三山のひとつ榛名山。その火口原湖である榛名湖畔で、温泉が発見されたのは1968年。80年には、旧榛名町が経営する「老人休養ホームゆうすげ」(後のレークサイド)がオープン。天然湖畔に湧く温泉は県内でも珍しく、黄白色のにごり湯が日帰りで楽しめる宿泊施設として、隣接する本館「榛名湖温泉ゆうすげ」と共に観光客や温泉ファン、登山客、地元住民に親しまれてきた。
年明けから問い合わせが相次ぎ、閉館が近づくにつれ「駆け込み客」が増えているという。本館の小野浩司支配人(45)は、「榛名湖畔で唯一の天然温泉である榛名湖温泉は、レークサイドと本館の両施設で入浴できますが、レークサイドの内湯は源泉かけ流し。しかも、榛名湖などが望めるとあって人気が高い。閉館が決まり、『内湯だけでも残して欲しかった』という声が本館にも多く寄せられています」と明かす。
【我が家みたいで落ち着く】
築40年を経た館内は、床や壁など老朽化が目立つが、常連客は後を絶たない。地元の長寿会メンバーと毎春、泊まりに来ている林茂雄さん(79=高崎)は、「建物もお風呂も古いんだけど、我が家にいるみたいで落ち着くんだよね。源泉かけ流しだから温まるし、気兼ねなく過ごせるところも気に入っていました」とポツリ。
レークサイドの一番人気は温泉だが、宿泊客とスタッフの距離が近いアットホームな雰囲気も好評。接客業務などを担当する松本早紀さん(28)は、「『スタッフさんと話すが楽しみ』と、毎月泊まりに来てくれる常連さんもいます。お客さまに喜んでもらえるのがうれしかったので、閉館は本当に残念。ただ、本館は変わらず営業しますので、『今度は本館でお会いしましょう』とお伝えしています」と笑顔を見せる。
【最後まで笑顔でお迎え】
レークサイドの宿泊は3月30日まで、施設の日帰り入浴は同31日まで楽しめる。営業終了後、2020年度中に建物を解体し、21年度には跡地をグラウンドゴルフ場として整備するという。
レークサイドの富澤浩一支配人(44)は、「私自身が未だに閉館することを実感できていません。多くの人に支えられて、ここまで続けられました。お客さまには感謝の気持ちでいっぱい。営業終了まで、スタッフと共に笑顔でお迎えしたいと思っています。是非、お立ちより下さい」と来館を呼び掛ける。
なお、富澤支配人などレークサイドのスタッフは、4月から隣接する本館勤務となり、一丸となって「榛名湖温泉ゆうすげ」の運営を担っていく。
※レークサイドゆうすげ(027・374・9131)。