浅草漫才協会の話(Vol.5)

漫才協会の会長、ゲロゲーロでお馴染みの青空球児師匠(右)から、楽屋で古い浅草の話をお伺いしてます

芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。

わたくし金谷ヒデユキ、今年の初めから「漫才協会」という団体に所属いたしまして、毎月浅草の舞台に立っております。「漫才協会」と聞いてもピンと来ない方も多いかと思いますが、「ヤホー漫才」でお馴染みのナイツや「ととのいました!」のねづっちなどが所属している漫才師の集いのようなものでございます。

この漫才協会、入ってみてビックリしたのが平均年齢の高さ。御年94歳の内海桂子師匠を筆頭に80代、70代の先輩芸人がゴロゴロ。現役で舞台に立ち続けております。今まで長寿といえば沖縄と思っていましたが、それを凌ぐ長寿の国が、実は浅草にあったのです。現在51歳の私など、この長寿国ではヨチヨチ歩きのひよっこ。なにしろ今年のお正月には何とお年玉を頂きました。51歳でお年玉!周りの同級生たちはそろそろ退職金を貰う準備をしているというのに、こっちが貰うのはお年玉。長寿国バンザイ!

ですが一つ問題がありまして、舞台に立つ芸人たち同様、それを見ている客席の方々も、これまた人生のベテラン揃い。普段のライブで良くウケるネタをやっても全然伝わらなかったりもします。あれ?ちょっといつもと違うなー。じゃあ、もーちょっと分かりやいネタにしようかな?喋るスピード落としてみようかな?などと毎回試行錯誤。それでも日によってウケかたが違う。迷いの日々。

そんなさなか、舞台袖に現れたのがおぼん師匠。おぼん・こぼんのコンビで「お笑いスター誕生」などに出演していた大先輩。「ちょっと今日はネタ見さしてもらうわー」えええーーー!?まだ上手く調子つかめてないのに!どうしよう!ここで下手なもん見せたら笑いに厳しいおぼん師匠に三行半つきつけられる!

うーん、どうする?分かりやすいネタにするか?スピード落としてゆっくりやるか?いや、そんな小手先でゴマかしてもおぼん師匠には見抜かれる。例えウケが悪くても自分が面白いと思ってる事をそのままやろう。と心に決めて自分の好きなネタやったら、お客さん大喜び。大爆笑。ネタを終え舞台袖に戻ると、おぼん師匠がひとこと「キレ味抜群やな」よっっしゃー!厳しいおぼん師匠のハートをキャッチ!

そんな笑いの殿堂、浅草東洋館。群馬の皆様も是非足をお運び下さい。

※今月の浅草東洋館出演は13、18日を予定。同館HP(http://www.asakusatoyokan.com/)

金谷ヒデユキ

金谷ヒデユキ

安中市出身。フジTV「タモリのボキャブラ天国」にて「地獄のスナフキン」の愛称で親しまれた音楽芸人。現在は音楽活動、芸人活動の他、声優として「機関車トーマス」アニメ「けいおん」等にも出演。初の主演映画「道しるべ」9月27日よりDVD発売開始。

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