NHK大河ドラマ「青天を衝け」は深谷市出身の渋沢栄一の物語。亡き父も深谷の出で「渋沢栄一という偉大な人がいた」と生前、自慢げによく話していた。幼い私は興味がなくて聞き流し、渋沢についてよく知らないまま育った。
大河ドラマや、2024年の新一万円札の肖像の話題をきっかけに、渋沢が「近代日本経済の父」と呼ばれていることを知った。ドラマでは、激動の時代を突き進む栄一のキャラクターにすっかりハマった。舞台は深谷から幕末の京都へ移り、今後も目が離せそうにない。
今更ながら気になったので調べてみた。旧渋沢邸「中の家」や「尾高惇忠生家」などの一帯は栄一ゆかりの史跡が多い。キャストの衣装などを展示する大河ドラマ館の辺りは、小学校の夏休みに従姉妹と散歩したことがある。
なんと、父の母校もその一つと判明。創建時の鮮やかな色に復元された木造校舎は一度見てみたい。ほかにも煉瓦の建物や煙突、酒蔵、映画館など見どころも多いことが分かった。煮ぼうとうも名物らしい。
もうすぐ父の命日。元気だったらドラマを毎週楽しみにしていただろう。渋沢や深谷の話を聞けたかもしれない。コロナ禍が落ち着いたら深谷を、父を想いながらめぐりたい。
(森作理恵)