祝・国宝、決定! 綿貫観音山古墳出土品 副葬品や埴輪など3346点

出土品が国宝指定に! 綿貫観音山古墳
副葬品や埴輪など3346点 国文化審答申

6世紀後半(古墳時代後期)に造られた前方後円墳、綿貫観音山古墳(高崎市綿貫町)の出土品が先月19日、国の文化審議会の答申を受け新たに国宝に指定されることが決まった。県内で出土した美術工芸品(考古資料)としては、「国宝挂甲武人埴輪」(東京国立博物館所蔵)に続き2例目。出土品の内容が多種多様で、有力地域首長の社会的地位や財力、朝鮮半島や中国大陸との深いつながりを示す学術的価値が極めて高い資料であることが評価された。出土品は国所有だが、全て県立歴史博物館に収蔵されているため群馬県で見られる美術工芸の国宝としては県内初となる。  (中島美江子)

 

状態が良く内容も多彩

 

国宝指定された出土品の数々(画像提供・県立歴史博物館蔵)

今回の答申対象は、国内最古の「銅水瓶(どうすいびょう)」や「獣帯鏡(じゅうたいきょう)」、「金銅馬具(こんどうばぐ)」、埴輪「三人童女」など3346点。出土品は内容の多彩さ、遺存状態ともほかに例のない優れたものであり、古墳時代の東国社会を研究する上で価値があるとされた。

 

県立歴史博物館の常設展示室に展示されている埴輪など出土品の数々

地元の宝、守り伝える

 

「国宝決定!」のぼり旗が掲げられた綿貫観音山古墳

国宝答申を受け、全出土品を所蔵する県立歴史博物館は「綿貫観音山古墳ガイドブック」を発行し同館などで販売するほか、常設展示室入口に「祝 国宝決定!」の文字と埴輪写真入りの看板をバックに撮影できるメモリアルスポットを設置した。

県立歴史博物館の常設展示室入口に設置された撮影スポット

県庁エントランスホールには、「祝国宝決定 群馬県綿貫観音山古墳出土品」と書かれた垂幕が掲げられ、埴輪や副葬品が出土した綿貫観音山古墳にはのぼり旗がはためき、お祝いムードを高めている。綿貫観音山古墳のガイドや管理などを担っている管理事務所スタッフの一人、日浦啓次さん(70)は、「吉永小百合さんのテレビCMが放映され、見学客が一気に増えましたが、国宝の指定を受けた19日以降はその数が更にパワーアップしています。綿貫観音山古墳は、まさに地域の誇り。本当にうれしい。地元の宝をこれからも、しっかりと守り、伝えていきたいですね」と笑顔で語る。

4月1日発行の「綿貫観音山古墳ガイドブック」

国宝に指定されることを知り先月末、埼玉県久喜市から始めて訪れたという川岸三千廣さん(70)と京子さん(67)夫妻は、「あちこちの古墳を巡っていますが、綿貫山観音山古墳は古墳らしい古墳という印象を受けました。周囲が開けていて、木々など遮るものもないので見晴らしが良いのも素晴らしいですね。県立歴史博物館の休館は残念でしたが、再開後にまた訪ねて出土品の数々をじっくり見たいですね」と興奮気味に語った。

なお、県立歴史博物館ではコロナウイルス感染予防のため休館中だが、再開後は常設展示室で主要な出土品が見学できる。同館(027・346・5522)。

 

掲載内容のコピーはできません。