禁酒の話(Vol.32)

芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。

漫才協会メンバーとの打ち上げ。早くコロナ収束しておぼん師匠とも飲みに行きたい

ふと思い立って禁酒を始めてみました。お酒を飲み始めてかれこれ30年以上。1年365日毎日飲み続け、外で飲んだ日でも家に帰って改めて飲み直し。酔っぱらって意識を失ってそのまま就寝。という生活を続けてきましたが、一念発起、アルコールと距離を置いた生活をスタートさせました。そこで今回は苦悶の禁酒生活の実態を綴ります。

禁酒を始めたのは今年の誕生日。10月4日。「せっかくだから誕生日記念に何か新しい事を始めてみよう」 

そんな軽い気持ちで始めた禁酒生活。経験者の話を聞くと「禁断症状で手が震える」「幻覚が見え出す」「そこを抜けると健康的な生活が訪れる」などの話を耳にし、果たして自分の身に何が起こるのか?不安と期待で胸をふくらませていました。

まずは初日。禁酒1日目。普段は刺身をつまみに晩酌。ビールを飲み、続いて芋焼酎のロック、赤ワイン。映画のDVDを見ながら徐々に酔いが回り、そのまま意識をなくしてダウン。意識を取り戻した頃には朝。というローテーションでしたが、禁酒をしたためにまったく眠くならない。夜12時を過ぎ、1時、2時、3時。いつもなら映画の途中で意識をなくして熟睡しているのに、映画が終わっても目がさえている。しかたなく2本目の映画の上映開始。自宅で勝手にオールナイト上映2本立てです。

結局初日はそのまま朝を迎え、禁酒2日目へ。そこでさらなる体の変化が。それは「甘いものへの情熱」です。今まで全然興味がなかったにも関わらず、急に体が甘いものを求め出したのです。チョコに大福、アンドーナツ。どらやき、ようかん、芋けんぴ。過去の人生でまったく縁のなかった甘いものたち。甘味軍団が迫って来たのです。

今まで他の味覚には目もくれず「お酒」ひとすじで生きてきたのに、禁酒をした途端に「聞いたわよー、お酒と別れたみたいじゃん。どう?私を食べてみない?」 エクレアが、焼きプリンが、ミルフィーユが僕を誘惑してきます。文字通りの「甘い誘い」です。

そこから1か月半。恐れていた禁断症状も、幻覚も、幻聴も起こらず、意外なほどあっさりと禁酒成功。身体の方も見違えるほど健康的に…、と思いきや、甘いものを食べすぎて体重激増。夜眠れずに睡眠不足。禁酒のおかげですっかり不健康になってしまいました。いかん!これでは禁酒の意味がない!何か別の作戦を考えねば!と思い悩んだ結果、願掛けをすることにしました。

「漫才協会の先輩、仲が悪い事でお馴染みの『おぼんこぼん師匠』が仲直りするまでは酒を飲まない!」これだ!これなら皆が幸せになる!固い決意をご本人にも伝えた所、食い気味に返ってきた言葉。「ほな、一生酒飲まれへん」。えーーーーっ?果たして禁酒生活は一生続くのか?乞うご期待下さい。

金谷ヒデユキ

金谷ヒデユキ/安中市出身。フジテレビ「タモリのボキャブラ天国」にて「地獄のスナフキン」の愛称で親しまれた音楽芸人。現在は音楽活動、芸人活動その他、声優として「機関車トーマス」、アニメ「けいおん」等にも出演。ツイッターのフォロワー募集中 https://twitter.com/kanaya_hideyuki

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