代々の殿様が描いた「新田猫」に会いにきて!
猫はネズミを追いかけ、ネズミは猫に捕まらないよう逃げる。私たちは生き物の習性として知っています。しかし、「猫の絵」でネズミを怖がらせるなんて思いも寄らないことです。群馬県やその周辺地域で養蚕農家では蚕を育てる蚕室や、床の間に猫絵を飾り、蚕や繭を食い荒らすネズミ除けのまじないとすることが江戸時代から昭和時代にかけて行われていました。
猫絵の中でもとくにネズミ除けの効果が高いとされたのが新田郡下田嶋村(現在の太田市下田島町)に屋敷を構えていた新田岩松氏の十八代・温純から徳純、道純、俊純までの四代にわたる代々の殿様が描いた「新田猫」とよばれる墨絵の猫絵です。
新田岩松氏は南北朝時代に争った足利氏と新田氏両系統の血を引く家柄。参勤交代を行うことができる大名に準じた格式であったものの、石高はわずか百二十石で貧しく、養蚕農家の求めに応じて猫絵を描いて家計を助けました。当時は「蚕を食い荒らすネズミの害は新田義貞一族の怨霊によるもの」との俗信があり、これに対抗できるものとして、新田氏の血筋の殿様が描く猫絵の効力に期待が寄せられました。
新田岩松氏四代が描く猫絵は当主それぞれの特徴があり、ネズミも怖がるような睨みをきかせた顔つきの猫もあればかわいらしい猫、のんびりとした顔つきの猫がいます。また、「新田猫」にあやかり、新田を名乗って描いたと思われる猫絵も今回の展覧会で紹介します。ぜひお気に入りの猫を見つけてみて下さい。
なお、現在、歴史博物館はコロナウイルス感染拡大予防のため休館しています。この間、展示に親しみをもってもらえるよう、HP内「ぐんまお茶の間ミュージアム」において「新田猫絵ぬり絵」を公開しております。ダウンロードして自由に着色したぬり絵を同展会期中に博物館に持ってくるとぐんまちゃん缶バッジをプレゼントします。なお、再開は4月中旬を予定していますが、今後の状況により変更になる可能性もあります。ご来館の際はホームページやお電話で開館状況をご確認下さい。