織都をアートの発信拠点に!

グループ展を企画した大川美術館の田中館長(右から4番目)を囲む桐生ゆかりの参加アーティストたち

AG ART/KIRYU

大川美術館開館30周年記念企画展
桐生ゆかりの8作家が近新作を発表

桐生の大川美術館では、開館30周年記念企画「桐生のアーティスト2020」を3月22日まで開催中。同市ゆかりのアーティストによる華麗な共演が楽しめるグループ展からは、「織都をアートの発信拠点にしよう!」という熱い思いが伝わってくる。

 

昨春に開館30周年を迎えた同館は、一昨年から様々な記念事業を行ってきた。同事業最後となる今展では桐生出身や桐生を拠点に活躍する8作家の近・新作を紹介している。繊維産業で栄えてきた織都・桐生にで、古くから織物に関わるアートを育む歴史と伝統がある。今展は、そうした文化的な背景をもつ「桐生」と共に歩んできた美術館という視点を踏まえ企画されたグループ展だ。

山口晃「ショッピングモール」(撮影・木暮伸也)

現代アートシーンを代表する山口晃さん(69年~)は桐生を俯瞰し、そこで暮らす人々の情景を緻密な筆致で描いた「ショッピングモール」を発表。画面には桐生が岡動物園や織物会館など市民にお馴染みのスポットが点在。山口さんは「緑豊かな山並み、シャッターが目立つ商店街とお客でにぎわうショッピングモール。故郷の過去現在未来を、幻視も含め描いています」と話す。

小松原洋生「『宙』19´-02a」

市内で美術予備校を主宰する森村均さん(56年~)は、室内外でインスタレーションを展開。風を受けて漂う金属モビールは絶えず異なった軌道を描く。桐生短大で教鞭をとる小松原洋生さん(67年~)は、天井から巨大な作品を吊り下げる。スペイン在住の石原彰二さん(50年~)は、風景などを瑞々しい色彩で表現した作品を出品。

金原寿浩「夜の森哀歌」

生命の温もりを刻み込んだ丸尾康弘さん(56年~)の木彫や東日本大震災などを題材とした金原寿浩さん(62年~)のモノクローム作品、折口信夫の「水の女」から着想を得た圓山和幸さん(76年~)の連作、画面に鮮やか色彩が躍る小林達也さん(72年~)の平面など、桐生に移住してきた4作家による作品も詩的で力強い。彼らは「桐生は風通しが良く、堆積された歴史が創作意欲をかきたてる」と口をそろえる。

同館の田中淳館長は、「国際的なアーティストを数多く輩出するだけでなく、他県から呼び込む力を持つ桐生という地に着目し、今展を企画しました。真摯に創作を続ける中堅ベテランのアートから、織都が秘めたエネルギーと可能性を感じて」と話す。
同館では山口さんの「ショッピングモール」ポスター(1200円、額入り4400円、いずれも税込。限定500枚)を販売中。一般1000円、大高生600円、中小生300円。同館(0277・46・3300)。

 

 

 

 

 

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