今月8日、さいたま市の埼玉スタジアムで行われた第96回全国高校サッカー選手権大会決勝で、2年連続3度目の決勝進出を果たした前橋育英が、流通経大柏(千葉)を1―0で破り、悲願の初優勝を飾った。県勢としても初の選手権制覇で、年明け早々明るいニュースが舞い込んだ。決勝で取材に当たり、スタジアムの大きさや応援スタンドの熱気、歓声に圧倒され、そして何より選手たちの白熱したプレーに釘付けとなった。
試合はまさに手に汗握る展開。準決勝まで今大会最多の15得点の攻撃力と1失点の堅守で勝ち上がってきた前橋育英。前半はDF5人の布陣で臨む流経の徹底したマークに苦しむ。後半は怒涛の攻撃を見せ、幾度となくゴールに迫るが、わずかに枠をとらえきれず後半アディショナルタイムに。終了間際、その時は訪れた。唯一の2年生レギュラーFW榎本樹選手が右足を振り抜き、決勝点となる待望の1点をもぎ取った。「おっしゃー!」選手同様、思わず私も記者席で声を上げていた。
昨年の決勝、青森山田戦では0―5で準優勝。屈辱的な大敗からチームは立ち上がった。先日同校で行われた優勝報告会で、校長でもある山田耕介監督は「自分ができることを信じてやり続けていくことが一番大切」と挨拶した。その言葉通り初制覇に向けて取り組み続け、「優勝」の二文字をつかみ取った選手たちや関わったすべての人たちに改めておめでとうと言いたい。
(林哲也)