高崎市城南野球場に近いそば店が6月末に閉じました。40年以上、近隣の人たちに愛され、オフィスからの出前注文も多かった店。「経営は良かったのだけど跡継ぎもなく、エレベーターのないビル3階まで出前するのも大変になって」と店主の太田達さん(77歳)。妻や妹、友人ら、働く仲間は皆70代。引き際を決断しました。
大正3年に祖父が興した商店で、幼い頃から酒や醤油の配達を手伝ったそうです。千葉・銚子の醤油メーカーの特約店だった縁で、その後事業を拡大して営んだそば店でも「厳選していい醤油を使った。材料は吟味した」と太田さん。事前に表に貼り紙はしていなかったそうですが6月下旬の店内は、惜しむ人たちでにぎわっていました。
自慢のつゆで味わうタヌキそばが、私も好きでした。もっぱら高校野球大会の期間中に、球場に昼食を出前していただきました。太田さんの店と群馬県高野連との付き合いは、30年以上。春と夏の大会中は日曜定休を返上して、車やバイクで店と球場を行き来しました。
大正4年に始まった夏の選手権大会は、今年で100回目を数えます。群馬でも7日から、67校64チームが参加して大会が始まり、城南球場などで熱戦が繰り広げられています。
多くの人に支えられての第100回記念大会。始まりは、球児たちの要望を受けた朝日新聞社の企画ですが、ここまで大きく育ったのは、多くの裏方、ファンの皆さんのおかげです。甲子園を目指し、白球を追う球児たちを今夏も、応援してくださるとうれしいです。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)