鉄道の町・横川 機関車の汽笛をいつまでも(Vol.169)

安中市西部に位置し、信越本線の終着駅でもある横川。かつてはその先の軽井沢へと線路が続いており、県境を跨(また)ぐ碓氷峠を越えるための補助機関車の前線基地、横川機関区(運転区)が併設されていました。最盛期の横川の人口は、約40%が現職の鉄道職員とその家族であり、退職者や身内に鉄道職員のいる人を合わせると約80%以上に達していたという鉄道の町でもありました。

しかし、1997年9月30日、横川~軽井沢間が長野行新幹線(北陸新幹線)の開通と同時に廃止され、その日を境に横川は鉄道の町としての本来の機能を失い、地域の方々の暮らしは大きく変貌してしまいました。現在は横川機関区(運転区)跡地を再活用して「碓氷峠鉄道文化むら」があり、私の派遣されている施設でもあります。

鉄道OBなどによるトークショーは、予約開始からわずか30分で満席に

私の主な取り組みは、廃線当日まで横川機関区(運転区)に務めていた鉄道OBなどにご協力いただき、当時の写真や物品の収集、鉄道遺産を活かした企画を手掛けることです。中でも人気だったのは、鉄道OBによるトークショー。予約開始からわずか30分で満席になってしまうほどでした。

本来の鉄道の町としての歴史に終止符を打ちましたが、鉄道文化むらには現在も碓氷峠専用の補助機関車「EF63形電気機関車」が体験運転用(事前予約制)として動態保存されています。今も横川に汽笛が鳴り響くのは、それに携わる人たちの努力や想いがあってこそ。

私が企画を実現するために大切にしていることは「人との繋がり」ですが、世代が大きく異なる方たちからの信頼や協力を得るために日々のコミュニケーションが欠かせません。横川に汽笛を鳴り響かせるための一員として、これからも仲間と共に「碓氷峠鉄道文化むら」を盛り上げていきたいと思います。

 

安中市地域おこし協力隊
後藤 圭介

【略歴】1995年高崎生まれ。大学卒業後、碓氷峠の観光資源に興味を持ち、2017年に安中市へ移住。当時の鉄道OBなどによるトークショーや、展示車輛の修復プロジェクトなど、市内での人脈や観光資源を活かした企画を担当

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