音楽の力で世界をつなぐ 群馬交響楽団創立75周年記念プロジェクト

今年創立75周年を迎える群響=高崎芸術劇場

記念演奏会のテレビ生中継、オンラインライブ配信を目指し
クラウドファンディングに挑戦

群馬県と群馬交響楽は、創立75周年記念プロジェクトとして群響演奏会開催やテレビ中継、オンラインライブ配信の実施を目指し、クラウドファンディングで寄付を募っている。いずれも群響史上初めての取り組みで、「withコロナ時代」における県民の一体感を高めると共に、音楽の力で世界をつなごうと企画。県や同楽団は、最終目標金額940万円の達成に向けてHPや公演会場などで支援を呼び掛けている。(中島美江子)

心の交流と生きる希望となるような演奏会に

同プロジェクトは、新型コロナウイルスの影響で中止となった12月のベトナム公演の代替公演として企画された。「音楽の力で世界を『つなぐ』」と題した12月5日の演奏会には、コロナ禍で尽力する県内の医療従事者や介護従事者、県内在住在勤のベトナム出身者が招待される。指揮を務めるのは、群響ミュージック・アドバイザーの小林研一郎さん。

演奏会を群馬テレビで生放送すると共に、ベトナムを始め世界に向けて公演の模様をオンラインでライブ配信。さらに、ベトナム国立交響楽団の演奏を現地ベトナムからオンラインでライブ配信し、ベトナムとの交流を図るという。同楽団の渡会裕之常務理事兼音楽主幹は、「75周年プロジェクトは、群響史上初めての試み。『withコロナ時代』、まさに音楽で人々を繋ぎ、結ぶことで心の交流と生きる希望の力となるような演奏会にしたいと思っています。是非、群馬テレビやライブ配信で群響の演奏を楽しんで下さい」と呼びかける。

終戦直後、高崎に誕生した地方オケの草分け

群響は1945年(昭和20)11月、終戦直後の荒廃した高崎市に産声をあげた。文化を通した復興を目指す音楽家たちによって創設。地方オーケストラの草分け的存在で、1947年(昭和22)年からクラシック音楽の普及活動の一環として県内の児童・生徒を対象とした移動音楽教室を展開。1994年(平成6)には、「プラハの春国際音楽祭」「ウィーン芸術週間」から同時に招待を受け、初の海外公演を成功させた。1995年(平成7)に県人口200万人記念映画「眠る男」の音楽を、2005年(平成17)にはNHK朝の連続テレビ小説「ファイト」の主題曲を担当。現在、定期演奏会や県内外での公演、移動音楽教室などを通して、音楽の素晴らしさを多くの人に伝え続けている。

今年は創立75年の節目だったが、新型コロナウイルス感染拡大で2月以降、公演が次々と中止に。演奏活動が制限される中でも、無観客演奏会や動画配信「おうちで群響」、演奏のDVD収録などに取り組み、音楽に触れ合える機会を積極的に提供してきた。

より多くの人と記念プロジェクトを成功させたい

群響は今年12月、「プラハの春国際音楽祭」以来26年ぶりの海外公演をベトナムで行う予定だったが、コロナ禍で断念。代わりに12月5日、音楽の力で世界を「つなぐ」演奏会を高崎芸術劇場で開催する。その資金を8月20日からクラウドファンディングサイト「ハレブタイ」で募っているが、10月14日までに約450万円が集まっている。

一口3000円からで、1万円以上寄付した人は本演奏会ゲネプロ(演奏会本番前に行う最終リハーサル)に招待(先着500人)されるほか、県外在住者には群響演奏会鑑賞券や群馬の特産品など様々な返礼品が贈られる。ふるさと納税型を活用した「クラウドファンディングのため、税制の優遇措置も受けられる。

県文化振興課の担当者は、「多くの人とプロジェクトを成功させたい、県民の皆さんの一体感を高めたいという思いからクラウドファンディングでの資金調達を行っています。テーマの『つなぐ』には、『音楽で県全体をつなぐ』『音楽で世界をつなぐ』という2つの願いを込めました。プロジェクトを通して音楽の素晴らしさを届けたいと思っていますので是非、ご支援にご協力下さい」と話す。なお、募集は11月13日まで。詳細はクラウドファンディングサイト「ハレブタイ」(https://greenfunding.jp/harebutai)。問い合わせは、県文化振興課(027・226・2593)へ。

掲載内容のコピーはできません。