親子二人三脚で手掛ける 「プリンセスひな人形」
高崎の「アートこうげつ」
愛らしい表情が好評
愛らしい表情の「プリンセスひな人形」シリーズを中心に取り扱う人形工房「アートこうげつ」(高崎市山名町)では、3月の桃の節句を前に人形作りと販売が大詰めを迎えている。人形師の渡邊聖也社長(43)と泉二専務(75)親子が二人三脚で手掛ける主力商品は、「やさしい表情で可愛い」と子どもからお年寄りまで好評だ。
安産・子育ての宮として知られる山名八幡宮の神社前にたたずむ人形工房は、高崎の老舗専門店「こうげつ人形」(昨秋閉店廃業)で17年間修行を積んだ聖也社長が2019年1月に創業。父親であり、54年のキャリアを持つ大ベテラン泉二専務とともに、ひな人形の製造・販売から、山車人形や山車幕の製造・修理、ちょうちん製造まで幅広く手掛けている。
店名の「人形工房アートこうげつ」には聖也社長の祖父が立ち上げた人形店のDNAと、「モノ作り」への思いが込められているという。
プリンセスひな人形は、従来の伝統的なひな人形とは異なり、赤ちゃんのように額が広く目も大きい。手のひらに乗るコンパクトサイズと、親しみやすい表情などが特徴だ。「限られた住空間に飾れる、次世代にもつながる可愛らしいおひなさまを」という渡邊親子の熱い探究心と職人技から誕生した。8~15万円の価格帯が売れ筋。よりコンパクトな「ぷりひな」シリーズ(4~8万円)も人気という。
人形師として共に切磋琢磨し合う渡邊親子は、「伝統は革新の連続と言われますが、時代に合わせて表情やサイズを柔軟に変えていかなくてはならないと思います。万人に愛される顔や大きさにするため、試行錯誤を重ねました。これからも、お客さまのニーズに添った飾りやすく可愛いひな人形を作っていきたいですね」と意気込む。
なお、同工房では、74年の歴史を閉じた「こうげつ人形」のお客さまの声を受け、修理やアフターサービスにも応じている。聖也社長は、「ひな人形は生まれたお子さんの代わりに災厄を受けてくれると言われています。我が子の成長の思い出と共に、末永く大切にしてもらえたらうれしいですね」と話す。同社(027・381・6233)。