ザスパクサツ群馬 3年ぶりのJ2復帰 開幕戦白星飾れず
2月23日 正田醤油スタジアム群馬
ザスパクサツ群馬0-3アルビレックス新潟
3年ぶりにJ2に復帰したザスパクサツ群馬。ザスパ創設時の2002、03年に選手兼監督として指揮を執った奥野僚右氏を17年ぶりに監督に迎えた今季初の戦いが先月23日、正田醤油スタジアム群馬で行われた。対戦相手は、昨年J2で10位のアルビレックス新潟。隣県チームとあって、新潟からも多くのサポーターが駆け付け、開幕戦のチケットは完売、満員のスタジアムの中で試合は行われた。結果は0-3とザスパは大敗したが、「新生・奥野ザスパ」にサポーターから熱い声援が送られていた。
攻撃で課題も、守備では手応え
強風の中で行われた開幕戦。序盤は互いに思い通りのプレーができずに難しい展開になった。最初のシュートは、11分に田中稔也が放ったミドルシュート。前半風上に立ったザスパは、「どんどんシュートを打っていこうとした」(高瀬優孝)が、焦りから縦へ向かうスピードが速すぎてしまい、田中のシュート以外チャンスを作れなかった。逆に「前半25分頃からは、向かい風に対してどのようにプレーしたらいいのか理解した上でいいプレーができた」と新潟のアルベルト プッチ オルトネダ監督が語ったように、徐々に新潟に攻め込まれる時間が増えたが、ザスパDF陣が集中した守備を見せてゴールを死守。前半を0-0で終えた。
66分に新潟はファビオを投入。「事前に、ファビオが入ってくるのは分かっていた」(前橋育英高出身の岡村大八)と、ザスパはCB(センターバック)の渡辺広大主将とJ2初出場となった岡村が中心となり、互いにコミュニケーションを取りながら新潟の猛攻を防いでいた。しかし、守備の集中が切れたのが、82分の新潟に与えたFKのシーン。FK直前に、体を張った守備で相手の攻撃の芽を摘んでいたSB(サイドバック)の高瀬を交代させていた。新潟の堀米悠斗のFKを一旦はザスパDFがクリアしたものの、そのセカンドボールを新潟の渡邉新太に決められ1失点。
奥野監督も「守備の交代が結果論として裏側に出てしまった。勝ち点を拾う上で自分の采配ミスだったんじゃないかなと思います」と試合後に口にしたように、この失点を契機に4分後の86分にはDFの裏を突いたファビオのシュートのこぼれ球をロメロ フランクに押し込まれ2失点。
88分には、新潟のペナルティエリア付近からザスパDFの裏を狙って出された大木祐槻のロングパスをファビオに決められ3失点を犯し、わずか6分間に3点を失った。ザスパはあきらめずに試合終了までゴールに向かったものの、結局、後半はシュートまで持って行けずに0-3で開幕戦を黒星で終えた。
試合後、岩上祐三(前橋商業高校出身)は「新潟はJのチームと練習試合をしていたが、うちはやれていない。その差が出てしまった。0-1となって、ラスト10分だったので、ある程度の失点のリスクはしょうがないですけど、防げた失点もありましたし、もったいない失点だったと思います」と悔やんだ。
開幕戦では攻撃に課題が出た。シュートは、前半に放った田中のミドルのみ。後半にいたってはシュート0という状況。2年前にJ2で得点王になり、今季大宮アルディージャからザスパに移籍した大前元紀は、「ロストボールが多くて、攻撃で自分たちの時間が作れなかった。速く攻めるところは大事ですけど、自分たちの攻撃の時間を増やしていければと思う」と前を向いた。
J2の22チームの中で一番下からの挑戦となる。今季の目標は16位とJ2残留を目指すザスパは、今後も難しい戦いを強いられるだろう。だが、試合をこなすごとにチームとしての成長も期待できる。将来、J1を目指せるチームになるため、今季は奥野監督の下、チームとしての土台を築く時だ。
なお、新型コロナウイルスの影響でJリーグの第2節以降の試合が延期となった。ザスパは開幕戦で出た課題修正に取り組み、リーグ再開のときにはまた成長した姿を見せてくれるだろう。(撮影 高山昌典)