舞台芸術の新たな殿堂「高崎芸術劇場」

音楽のある街・高崎に今秋誕生 Vol.2

ハードとソフトで「非日常」と「感動」を創造

国内最大級の舞台面と最新鋭の機能を誇る「大劇場」(2030席)

国内有数のホール機能と規模を誇る高崎芸術劇場(以下劇場)。ハードはもちろん、ソフトでも国内トップクラスを目指す。群馬交響楽団の新しい活動拠点になるほか、国内外から著名アーティストを招聘(しょうへい)し、クラシックやミュージカル、ロック、ジャズ、バレエ、演劇、舞踊、能など多彩な公演を行う。その数は年内で約70公演にも上るという。

こけら落としとなる9月20日は、劇場特別顧問を務める大友直人さんの指揮で群響、高崎第九合唱団、世界的ソリストがベートーベン「交響曲第9番」を披露。ウィーン国立歌劇場でオペラ「アイーダ」の主役を務めたクリスティン・ルイスさん(ソプラノ)や高崎出身の泉良平さん(バリトン)、200人を超える合唱団が「歓喜の歌」を歌い上げ、「芸術の殿堂」の幕開けを祝う。
9月22日から開催される高崎音楽祭では、加藤登紀子さんと森山良子さんが群響と共演するほか、群響ミュージックアドバイザーの小林研一郎さんがマーラー「巨人」を指揮。10月以降も実力派バイオリニストのイザベル・ファウストさんの演奏会や同劇場公演のために書かれた新作の世界初演、由緒ある歌劇団による「椿姫」の上演など、豪華かつ多彩なプログラムが目白押しだ。世界的指揮者ケント・ナガノさんと人気ピアニスト辻井伸行さんが共演する公演や髙橋真梨子さんのライブなど、既に完売している催しも少なくない。

劇場の栗田弘之事業企画担当部長は、「硬軟織り交ぜたラインナップ。ここでしか『聴けない、見られない』オリジナリティーある企画を心掛けています。お陰様でお客様の反応は良く、国際舞台で活躍する著名アーティストからの問い合わせも多い。開館前から劇場への関心の高さが感じられ、うれしい限りです」とほほ笑む。
公演内容はもちろん、接客サービスにも力を入れる。会場入り口のチケットのもぎり、パンフレットの配布、ロビー・客席への案内、クローク係などは、劇場専属のレセプショニストたちが担う。劇場サービスを取りまとめる香西恵里さんは、「お客様一人ひとりに合わせたファーストクラスのサービスを」をコンセプトに掲げ、メンバーと共にスタッフ研修に励む。「速やかなご案内はもちろん、お客様のご要望を汲み取り、お気持ちに寄り添い、それぞれのお客様に合わせた最高のサービスを提供したい。目指すのは、そんな最高級の心からのおもてなしです」と意気込む。
劇場が「第4のホール」と位置付けるカフェとレストランでは、高崎産の食材を活かした料理や各公演に合わせた特別メニューなどを提供するという。さらに、3つのホールに付帯するホワイエビュッフェでも、公演に合わせ飲み物や軽食を振舞う予定だ。

柔らかな自然光と間接照明の穏やかな光に包まれた館内は、明るく開放的で居心地が良い。また、ガラス張りの建物は、道行く人に劇場の活動や賑わいを発信することができ集客効果も期待できる。
劇場の佐藤育男副館長は、「ハードとソフトの両面から『非日常』を演出し、多くの感動と驚きを与えられる劇場を目指します。市民の皆様に誇りに思ってもらえるよう、劇場独自の企画力とサービスを磨き、その存在を国内外に発信していきたい」と熱く語る。

「音楽のある街」の先人たちが築き上げてきた歴史と精神を受け継ぎ、新たな都市文化を創造していく高崎芸術劇場は1カ月後、遂に幕を開ける。(中島美江子)

 

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