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ドラフト2019
前商左腕・井上温大 選手
今月17日のドラフト会議で、前橋商業3年の井上温大投手が読売ジャイアンツから4位指名を受け、来年からプロの世界へと歩み出す。前橋商業が支配下での指名を受けるのは、2010年に後藤駿太がオリックス・バファローズから1位指名を受けて以来の快挙だ。
ドラフト当日、前橋商業の校内で、野球部の3年生と保護者、学校関係者と一緒に大型スクリーンでドラフトの様子を見ていた井上。「いのうえ・はると」と巨人が4巡目で指名した瞬間、チームメートとハイタッチを交わし、喜びを爆発させた。
指名後に記者からの質問で、巨人から指名を受けた感想を尋ねられると、「昔から伝統のあるチームで選手層も厚い。自分もそこに食らいついていきたい」と答え、「調子が悪い時や良い時があるけれど、どんな状態でもチームを勝ちに導けるような投手になりたい」と抱負を語った。目指す投手は、巨人のエースである菅野智之投手だ。
井上は7月27日の夏の大会の決勝戦を最後に、野球部を引退。決勝戦で前橋育英に敗れた後、「全てにおいて相手が上。自分たちが優位に立っていると感じた部分は一つもなかった。今はプロで活躍できるイメージが湧かない。すべてにおいて力をつけないと」と自信を喪失していた。しかし、引退後に体重が増えたことで急速も142キロから146キロまで増し、再び自信を取り戻す。
井上がプロから注目されたのは、高校1年生の時。ある球団のスカウトが2学年上の先輩を視察に訪れた際、井上の美しい投球フォームが目に留まり、住吉信篤監督に「プロに行ける素材」と語ったという。
漠然としたプロへの夢が、ドラフトで実現のものとなった井上。会見で恩師の住吉監督が、「これをゴールととらえず、スタートラインに立ったと考えてほしい。しっかり身体を作って、ケガをしないで長く野球を続けられる選手になってほしい」とエールを送った。
プロで活躍できるのは一握りの選手。井上が厳しい競争にもまれながら成長し、1軍のマウンドに立つ日が今から楽しみだ。