企画展で最晩年を紹介
原稿、病床日誌、デスマスクなど73点
館林・田山花袋記念文学館 7月12日まで開催中
「誇る文豪 田山花袋」―上毛かるたでもお馴染みの館林出身の小説家・田山花袋(1871~1930年)の没後90年記念企画展「巨星落つ―田山花袋が去った日」が、同市の田山花袋記念文学館で開催されている。
1907年(明治40)の「蒲団」発表以降、日本の自然主義文学の旗手として明治文壇に一時代を築き上げた花袋。明治から大正、昭和へと時代が変わってもその創作意欲は衰えることなく、数多くの作品を残し、1930(昭和5)年5月13日に58歳の生涯を閉じた。この日を「花袋忌」と呼び同館では毎年、顕彰する企画展を行っている。
今年はちょうど没後90年に当たることから、花袋がこの世を去った「その日」をテーマに、約1年半の闘病生活や、それを支えた家族や友人たちとの交流、花袋を慕う人々による顕彰活動などを示す資料などを展示している。
会場には花袋の原稿を始め、代々木自宅の書斎の写真や病床日誌、病床で作られたと思われる漢詩、死亡通知、葬儀名員や弔問客の名簿、葬儀委員の写真など全73点が並ぶ。なかでも貴重なのが、10年ぶりに特別公開されている石こう製のデスマスク。亡くなった翌日の通夜で、彫刻家の堀進二が制作したものだが、額の皺や眉毛、まつげ、ひげなど1本1本が克明に写し取られている。葬儀会場の自宅に飾られていたものという。
同館の小林里穂学芸員は「今まであまり明らかになっていなかった最晩年をたどるとともに、花袋を慕う人々による追悼会や顕彰活動などについても紹介しています。明治大正昭和と駆け抜けた文豪の人生を感じてもらえたら嬉しいです」と期待する。
7月12日まで。月曜休館。一般220円、中学生以下無料。同館(0276・74・5100)。